先週、5月の完全失業率および有効求人倍率が発表となりました。失業率は横ばいでしたが、男女別に見ると女性が少し回復、男性が悪化しています。有効求人倍率はわずかずつですが、4ヶ月連続で悪化です。日本の雇用情勢は芳しくありません。

つい昨年まで人が足りないと困っていた人材派遣会社も、逆に派遣先が減ってきたとか、外資系への転職話が相手企業の日本からの撤退に伴い凍結になった(サブプライム問題の影響ですね)といった話を身近でも見聞きします。
一方で、生活消費物価の上昇は続いています。ガソリン代、電気・ガスなどの公共料金や小麦関連をはじめとした食料品の値上げは家計を直撃しています。
インフレには2種類あり、景気がよくなり需要が増えることによって起こるものと、為替変動等などから来る輸入価格の上昇によるものです。
今回の物価上昇は、資源価格の値上がりによる輸入型のもので、景気上昇が背景にあれば吸収できるかもしれませんが、先に述べたとおり、雇用情勢の悪化(リストラの進行などが背景にあります)が顕在化しつつある今は、どう見ても「好ましい物価上昇」とはいえないでしょう。

専門家の間では、今回のインフレは懸念するほど大きなものではなく、企業の体質も改善してきていることから、70年代にあったようなスタグフレーション(不景気+インレーション)の再来にはなりにくいとの発言も多く見られるようです。
とはいっても、景気や消費というのは値上がり率などの数字で出るものと異なり、「人」のマインド(感情)によるところが大きいです。生活物価の上昇や周囲の雇用状況の悪化は、どうしてもマインドの低下、「守りの姿勢」へとなっていってしまいますよね。

さて先週に引き続き、どうにも暗い話で申し訳ありませんが、現実を直視することは大切です。こんなときの個人投資家の投資姿勢については先週お話しましたが、ライフプランの見直しについても考えてみましょう。

>先週のコラム「こんな相場のときの個人投資家の行動は・・・」
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/008881.html

ライフプランは一度作成するとほっとしてしまいがちですが、自分自身の生活設計が変わったときに随時見直すことが必要です。ただもちろんそれだけではなく、周囲の経済環境の変化なども考慮して見直していくことが重要です。 以下のポイントにそって、ぜひご自分のライフプランの見直しをしてみてくださいね。

[収入にかかわる見直し]
●転職、独立、留学といった転身のタイミングとコストと予想収入に対する見 直し(転身予定の目処が立たなくなり失業するリスクも)
●ボーナス額を含めた年収と賃金上昇率の見直し

[支出にかかわる見直し]
●食費、水道・光熱費など基本生活費の見直し(年間にすると大きな差に。デ フレベースの考え方の転換が必要)とインフレ率の考慮
●住宅購入など借入金の伴う買い物のタイミングと金額を収入予想に合わせて 見直し

[運用にかかわる見直し]
●金融資産ポートフォリオのアロケーションの見直し
●想定運用利回りの見直し
廣澤 知子
マネックス証券 マーケティング部 マネジャー
シニア・フィナンシャル・アドバイザー