東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は反落となりました。104円安の27,677円で寄り付いた日経平均は直後に83円安の27,699円までやや戻した後下げ幅を広げると11時過ぎに488円安の27,294円まで下落しましたが、前引けにかけてやや持ち直すと373円安の27,409円で前場を終えました。
再び下げ幅を広げ425円安の27,356円でスタートした後場の日経平均は14時20分前に509円安の27,272円まで下落し安値を付けるとその後も安値圏で推移し結局498円安の27,283円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。
2.個別銘柄等
キーエンス(6861)が4.7%高となり上場来高値を更新しました。欧米やアジアを中心にセンサーなどファクトリーオートメーション(FA)機器が回復したことで第1四半期の営業利益が前年同期比で80.7%増と大幅な増益となり市場予想も上回ったことで大幅高となりました。ゾゾタウンを運営するZOZO(3092)も第1四半期の営業利益が前年同期比で20.8%増となり市場予想も上回ったことで8.1%高となっています。
商船三井(9104)も12.3%高となり年初来高値を更新しました。昼休み中に発表した第1四半期決算で分法適用会社のコンテナ船事業の荷動きとスポット賃率がいずれも想定を上回るレベルで推移していることから通期の経常利益の見通しを2200億円から3500億円に引き上げたことで後場に大きく上げ幅を広げました。また、他の海運大手にも買いが波及し日本郵船(9101)が6.9%高、川崎汽船(9107)も6.4%高となり、日本郵船は年初来高値を更新しています。
一方で富士通(6702)が8.9%安となりました。第1四半期の営業利益が世界的な半導体不足を背景に子会社の半導体事業が伸びたことや、システム開発体制の見直しといった費用削減策が寄与したことなどから前年同期比で51.5%増と大幅な増益となり市場予想も上回りましたが、国内の受注が減少したことが嫌気されました。また、第1四半期の営業利益が大幅な減益となったアンリツ(6754)と大日本住友製薬(4506)が急落し、アンリツが8.9%安、大日本住友製薬が10.8%安となり、アンリツは年初来安値を更新しています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は498円安となりました。国内で新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず大阪府や首都圏3県に緊急事態宣言が追加発令される見通しとなったことや、決算発表を受けて大きく下落する銘柄が目立ったこと、さらに香港株が大きく下げたことなどもあって大幅安となりました。昨年9月から続く月末株安というアノマリーを今月も止めることができず、200日移動平均線の回復に失敗した翌日に大幅安となり節目の27,500円も割り込んだことで下値への警戒感が改めて意識されそうです。
なお、本日は決算発表の集中日で引け後にはコマツ(6301)や日立(6501)、マツダ(7261)、みずほフィナンシャルグループ(8411)、JR東日本(9020)、JR東海(9022)、KDDI(9433)など数多くの企業が決算を発表する予定です。また、30日の米国でもプロクター・アンド・ギャンブル(PG)やシェブロン(CVX)、キャタピラー(CAT)などが決算発表を予定しています。さらに日本時間の21時30分に6月の米個人所得と個人消費支出(PCE)が発表されるほか、22時45分には7月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が、そして23時には7月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)