ミャンマーのサイクロン、四川大地震と地球に大規模な災害が相次いでいます。(被災地の一日も早い復興をお祈りしています。)
災害は忘れた頃にやってくる、とも言います。被災地のニュースを見ていると、日本では考えにくい映像も見受けられますが、隣国のものとせず災害に対する「備え」をしておきたいものですね。

被災直後の基本的な衣食の確保は、周囲から救援物資が届いて凌ぐことができるかもしれません。でもその後の住宅再建などは融資の優遇などはあるかもしれませんが、基本的に自力で行わなければならないのが現実のようです。万が一の備えの資金があるのとないのとでは大きな差になってきますね。
万が一の資金というのは、日々の生活資金とは別で、かつ「いつ使う」ということが決まっているわけではありませんが、いざとなったら流動化できることが理想的です。
その際にあまりにリスクの高い運用をしていて相場の影響を受けてしまい、流動化しなければならないときに資金が激減していた、というような場面は避けたいですよね。
今、余裕資金として運用しているお金のうち「万が一の資金」としておける資金がある場合は以下の3点をポイントに考えてみてはいかがでしょうか?
1.途中売却が可能
2.価格変動は大きすぎない
3.資産全体の利回りを低下させない

1と2については前述の通りです。
3は資産全体のポートフォリオを考えた場合の注意です。安全資産を意識するあまりに、例えば全額預金のままにしてしまうと運用資産全体の平均利回りが低下してしまいます。せっかくの運用資金ですから、きちんとお金を殖やすことを目的としつつ、いざという時に現金化できるような投資を心がけたいものです。
それではどんな運用を組み入れていくとよいでしょうか?

・先進国の外貨建て債券
・国内の社債など比較的利回りの高い債券
・高格付け外国債券投資の投信 
・バランス型の投信               など

単品の商品である債券であれば、外貨建てリスクが中心、信用リスクが中心、とリスクがある程度限定的なものの方が価格のブレ幅は抑えられる傾向があります。債券は基本的に償還時には標記通貨建てでは元本確保、いざとなったら途中売却(ただし途中売却の場合は元本は相場変動の影響を受ます)ができる点は万一のための資金運用には向いているといえます。
資金を確保しておくことが目的の場合、投資信託では分配金が出るタイプよりは無分配で複利効果が得られるタイプの方が向いていると言えるでしょう。  
生活資金、老後資金に加えて、万が一のための資金まで・・・というのは確かになかなか大変ではあります。そこで、万が一の部分については保険に加入しておくという方法があります。(もちろん老後資金についても年金保険に加入する、という方法もありますが。)
一般的な損害保険としては火災保険がありますが、それだけでは地震被害はカバーできませんので、地震被害に対しての備えが必要である場合は、別途セットにして地震保険にも加入しておく必要がありますね。下記注意点です。
・地震による火災は火災保険で補償されない。
・地震保険は火災保険とセットにしなければ加入できない。
・地震保険では地震で建物が壊れたときのほか、噴火・津波によって建物や家 財に生じた損害も補償(ただし全壊でも時価の補償が限度)

もちろん保険も万能ではありません。いざという時に部分的には役立つと思いますが、自分自身での運用もぜひ平行して行うよう意識していきましょう。

廣澤 知子
マネックス証券 マーケティング部 マネジャー
シニア・フィナンシャル・アドバイザー