東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて3日ぶりに反落となりました。日経平均は200円安の28,517円で寄り付くと直後に235円安の28,482円までやや下げ幅を広げましたが、朝方の売りが一巡するなかで持ち直すと10時20分前に21円安の28,696円まで戻し59円安の28,659円で前場を終えました。
やや下げ幅を広げ112円安の28,605円でスタートした後場の日経平均は直後に120円安の28,597円まで下落した後13時前に59円安の28,658円まで戻しましたが、その後引けにかけてやや下げ幅を広げると結局109円安の28,608円で取引を終えています。
こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が上昇となった一方で、日経ジャスダック平均は下落となっています。
2.個別銘柄等
東宝(9602)が11.0%高となり上場来高値を更新しました。3月に公開した「シン・エヴァンゲリオン劇場版」のヒットに加え、テレビアニメ「呪術廻戦」などの商品化権収入も伸びたことなどから第1四半期の営業利益が前年同期比3.8倍と急回復をみせたことで急伸となりました。
松屋(8237)も6.2%高となりました。消費意欲の強い富裕層向けの高級ブランドの販売が好調で第1四半期の営業損益の赤字額が前年同期比で縮小したことで大幅高となりました。九州市を地盤とする百貨店の井筒屋(8260)も3.8%高となりました。巣ごもり需要で高品質なベッドや椅子などが好調で第1四半期の営業損益が黒字に転換したことで買いを集めました。ライトオン(7445)も6.8%高となり年初来高値を更新しました。在庫を適正にコントロールし値下げロスの改善に努めたことや販管費が抑制されたことなどから第3四半期の営業損益が黒字に転換したことが好感されました。
一方でニュースアプリの運営などをてがけるGunosy(6047)が一時16.3%下落しストップ安となる場面がありました。2022年5月期の上期の営業損益が広告宣伝投資を積み増すことなどから赤字となる見通しを発表したことから売りがかさみました。東レ(3402)も3.2%安となりました。ボーイング(BA)が中型機787の機体の一部で改修が必要な問題がみつかり生産ペースを一時的に引き下げると発表したことでボーイングに炭素繊維を供給する東レが売られました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は109円安となりました。昨日の米国市場が3日ぶりに反落となったことから売りが優勢となりました。しかし、節目の28,500円を小幅に割り込んだところで切り返すと下げ幅を縮めました。三桁の下落となったものの2日間で800円近く上げた後としては下げ渋ったといえそうで底堅さをみせたことから明日以降の展開に期待が持てそうですが、こうしたなかで買いが優勢となった場合には一目均衡表の薄い雲を一気に上に抜けて節目の29,000円を試すような動きがみられるかがポイントとなりそうです。
なお、日本時間の15日午前1時からパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米下院金融サービス委員会で証言を行うほか、午前3時には米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表される予定です。また、14日の米国市場ではバンク・オブ・アメリカ(BAC)やシティグループ(C)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)などが決算を発表する予定です。さらに明日は日本時間の11時に中国で4-6月期のGDPなど数多くの経済指標が発表される予定で注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)