東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて3日続落となりました。日経平均は378円安の27,739円で寄り付くと直後に255円安の27,862円まで持ち直しましたが、上値は重く下げ幅を広げると11時過ぎに698円安の27,419円まで下落し644円安の27,473円で前場を終えました。

511円安の27,606円でスタートした後場の日経平均は13時前に566円安の27,551円まで下落しましたが、13時50分ごろから急速に下げ幅を縮め大引け間際に118円安の28,000円まで戻すと結局177円安の27,940円で取引を終えています。一方で新興市場は堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

セブン&アイ・ホールディングス(3382)が一時4.4%安となりました。第1四半期の営業利益は前年同期比8.6%増と増益を確保しましたが、市場予想に届かなかったことで売りが優勢となりました。昭和電工(4004)も一時4.3%安となりました。鉛蓄電池事業の譲渡に伴い事業構造改善費用として約300億円の特別損失を計上することから通期の最終損益の見通しを110億円の黒字から140億円の赤字に下方修正したことが嫌気されました。

一方でオンワードホールディングス(8016)が6.8%高となりました。カジュアル衣料の販売が好調だったうえ、不採算事業からの撤退で採算も改善したことなどから第1四半期の営業損益が黒字に転換したことで買いが優勢となりました。小型建設機械を製造する竹内製作所(6432)も主力の欧米市場で住宅需要が堅調だったうえ、水道管やガス管などの生活インフラの公共工事が活況だったことなどから第1四半期の営業利益が前年同期比で41.2%増となったことで11.1%高となっています。また、USEN-NEXT HOLDINGS(9418)も13.6%高となり年初来高値を更新しました。第3四半期の営業利益が前年同期比で49.0%増の大幅な増益となったことに加えて、年間の配当予想を上方修正したことが好感されました。

マザーズ市場では決済代行のメタップス(6172)が28.1%上昇しストップ高となりました。米グーグルが日本で金融事業に本格参入するためメタップスやみずほ銀行などが共同出資して設立したスタートアップ企業を200億円超で買収すると伝わったことで買いを集めました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は177円安となりました。世界で新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず景気回復が遅れるとの見方が強まったことで昨日の米国市場が反落となったことで売りが優勢となりました。一時は700円近く下げる場面もありましたが、さすがに200日移動平均線(27,522円)を割り込んだこともあって押し目買いが入り後場に下げ渋りました。

一昨日は一目均衡表の雲と節目の28,500円を割り込み、昨日は安値引けとなるなど冴えない展開が続いたうえ、本日も節目の28,000円を下回ったことから下値への警戒感が一段と高まりそうですが、本日下げ幅を大きく縮めたことや来週は株価指数連動型上場投資信託(ETF)の分配金捻出に伴う売りといった懸念材料がなくなることもあり週明け以降の反発に期待したいところです。

なお、2月決算銘柄の第1四半期決算発表が本格化していますが本日も引け後に安川電機(6506)が決算を発表する予定で注目を集めそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)