株主総会のシーズンです。総会では様々な事柄が報告・説明され、議論され、決議されますが、それらの中で最も頻繁に議論される最も重要な決議事項は取締役の選任議案だと思われます。株主の視点を会社の経営に取り込もうとするコーポレートガバナンス改革の中では、社外取締役の選任は、その中でも特に重要な事項です。しかしこの社外取締役の選任のあり方、機関投資家がどのような候補に賛成もしくは反対票を入れるかの基準について、私は強い異議があります。

日本では会社からの独立性に目が行きがちで、会社と関係のない士業の方の選任は概ね問題なく賛成で、一方会社のビジネスを悉知している長い期間社外取締役をしている方には、「何年以上はダメ」と云って反対する傾向が強いです。これは、かつてはアメリカでもそのような議論があった時代もありますが、それは遠い過去の話で、今は「良い社外取締役は良い」「機械的に年数上限をセットするのは意味がない」という考え方が当り前で、例えば監査委員会委員長が既にその会社の社外取締役を15年以上している、という例もあります。

いいモノはいい、悪いモノは悪い。当り前の考え方で、いわんや年限のみで判断するなんてナンセンスです。それは或る意味、入社年次で上下関係を固定化する年功序列にも似た、日本的で間違った考え方だと私は思います。我が国のコーポレートガバナンス改革の仏に魂を入れるのは、まだまだこれからです。本件に限らず、改善に向けて、強く主張してまいります!