最近の金融商品の中で、最も急激に人気が出てきたのがFX(為替保証金取引)ではないでしょうか?「主婦で4億円」などニュースの言葉が一人歩きして、簡単に儲けられるような印象を受けて、始めた方も少なくないかもしれません。
ところが、7月後半からの怒涛の円高です。
ドル円をはじめ、クロス円通貨もようやく立ち直りつつあるものの、今回の円高で、大きくヤケド(ロスカット)してしまった方もいらっしゃると思います。
ヤケドをするから止めましょう!というものではありません。
では為替でなるべく手堅く投資する方法はあるのでしょうか?
レバレッジの比率を抑えて、自己資金を大幅に超えるような大金でトレードしないこと、これはまずは第一です。
通貨間の親和性、関係性を知っておくことも有効です。ただ、クロス円で投資をする場合はドル円の影響をストレートに受けることは間違いありませんので、今回のような大幅な円高ドル安という状況であれば憂き目に遭うことは避けられません。
(他通貨間取引をする場合は世界的にどこの通貨が強いのか、どの通貨はどこの通貨の影響を受けやすいのか、などを知っておくと有利です。)
もう一つ、なかなかチャンスはないかもしれませんが、「裁定取引」ができると確実性が高まります。
裁定取引というのは、同じ品質(同質)の二つの商品に異なる価格が成立している場合、両者の価格差に着目し、安い方を買い、高い方を売ることで利益を得る取引で、同時に取引するため、リスクが少ないことが特徴です。
例えばドル円、ユーロドル、ユーロ円の3つで見てみましょう。
ドル円が116円、ユーロドルが1.3537ドルだとします。
このとき、ユーロ円の理論価格は116×1.3537=157.03です。
ところが実勢レートが156円だったとします。
ユーロ円は確実に割安ですので、これを買います。
ポジションとしてロングでもショートでもない状況をスクエアといいますが、今、ユーロを買っていますので、同時にその金額分ユーロドルを売り、(これによりユーロはスクエアになります。)また同時にそのドルのロングになった分をドル円で売ります。(これでドルもスクエアです。)
外貨のポジションはなくなり、円で差益だけが残ることになります。
(簡略化のためビッド−アスクのスプレッドを無視しています。)
と、こういった取引が為替の裁定取引ですが、ドル円やユーロドルのようなメジャーな取引では市場の収斂も早く、こんな場面にはそうそうめぐり合えません。
過去には最近人気の南アフリカ通貨でこんなことがありました。
以前南アフリカでは金融ランド(Financial Rand)と商業ランドの二重通貨制で、商業ランドは管理相場制でした。それが1995年に新ランドに統一、変動相場制に移行したのです。互いの通貨がその中間レートに統一されることが決まっており、当時欧米のディーラーたちは「濡れ手に粟」とばかりに上昇する方をロング(買い)、下落する方をショート(売り)にしていました。まさにリスクなしの裁定取引でした。(どちらの通貨が高かったのが記憶になく、すみません。。。)
新興国の通貨は総じて金利が高いため、ショート・ポジションにするのはかなりリスクが高いものですが、上記のような場面であれば安心して取引できるものです。
通貨の取引をするときには、その国の経済状況や金利はもちろんのこと、その通貨の歴史や他の通貨との関係を知っておくことも、きっと役に立つと思いますよ。
※為替保証金取引は、あらかじめ合意された倍数(レバレッジ)に相当する金 額(最大取引可能金額)の取引を、定められた為替保証金を差し入れること によって行う取引です。このため、利益を得ることができると同時に、多大 な損失を生じる危険があります。