東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は一日を通して方向感に欠ける展開で小幅に反落となりました。71円高の29,030円で寄り付いた日経平均は9時30分過ぎに119円安の28,839円まで下落した後10時20分前に122円高の29,080円まで上昇しましたが、上げ幅を縮め再びマイナスに転じると35円安の28,923円で前場を終えました。18円安の28,940円でスタートした後場の日経平均は直後に30円安の28,928円まで下落した後持ち直すと13時50分前に38円高の28,996円まで上昇しましたが、節目の29,000円を前に上値が押さえられると上げ幅を縮め昨日の終値を挟んで小幅に揉み合う展開となり結局9円安の28,948円とほぼ横ばいで取引を終えています。こうしたなか新興市場は高安まちまちで東証マザーズ指数が上昇した一方で、日経ジャスダック平均は下落となっています。

2.個別銘柄等

エーザイ(4523)が7.0%高となり東証1部で売買代金トップとなりました。米バイオジェン(BIIB)と共同開発するアルツハイマー型認知症治療薬について米食品医薬品局(FDA)が承認申請を認めると発表したことで2日続けてストップ高となった後、昨日は利益確定の売りに押されて大幅安となりましたが、本日は買いが優勢となり一時14.9%高の11,490円まで上昇し上場来高値に並ぶ場面がありました。

ラクスル(4384)も9.1%高となりました。第3四半期の決算を発表し在宅需要に関係する商品を中心に販売が想定を上回っていることなどから通期の業績予想を上方修正したことで買いを集めました。日本郵政(6178)も一時3.6%高となりました。2500億円を上限に自社株買いを本日実施し、自社株買い後に一部を消却すると発表したことが好感されました。ペプチドリーム(4587)も一時3.6%高となりました。米レイゼバイオ社とのペプチド放射性医薬品の共同研究開発プログラムで開発の進展に応じたマイルストーン収入としてレイゼバイオ社の一部株式を受け取ることになったと発表したことが材料視されました。

一方で戸田建設(1860)やクボタ(6326)が投資判断の引き下げを受けて安く、戸田建設が4.2%安、クボタが4.5%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は9円安となりました。昨日の米国市場が上昇しS&P500株価指数が史上最高値を更新したこともあって買いが優勢となり節目の29,000円を上回る場面もありましたが、29,000円を上回ったところでは相変わらず上値が重く伸び悩むと29,000円を割り込みました。来週は米国や中国での経済指標の発表に加え、米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀金融政策決定会合の結果発表などもありイベントが目白押しですが、こうしたなかで29,000円を超えて水準を切り上げ100日移動平均線(29,094円)や75日移動平均線(29,133円)を上回ることができるかが引き続きポイントとなりそうです。

なお、日本時間の23時には6月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値が発表されるほか、13日まで主要7カ国首脳会議(G7サミット)が英国で開かれる予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)