東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日ぶりに反発となりました。日経平均は61円安の28,799円と下落してスタートしましたが、寄り付きを安値に切り返すと直ぐにプラスに転じ10時過ぎに146円高の29,007円まで上昇し121円高の28,982円で前場を終えました。上げ幅を縮め79円高の28,940円でスタートした後場の日経平均は28,900円台で推移すると大引け間際に128円高の28,989円まで上昇しましたが、引けにかけてやや上げ幅を縮めると結局97円高の28,958円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

塩野義製薬(4507)が3.4%高となりました。国内で治験中の新型コロナウイルスワクチンについて年内に最大3000万人分の量産体制を整える方針だと伝わったことが好感されました。キユーピー(2809)も一時2.7%高となりました。卵を使わない卵商品を開発し、大豆を原料とするスクランブルエッグのようなペースト状の商品を6月下旬に国内で売り出すと伝わったことが材料視されました。コーナン商事(7516)も20.0%高となり年初来高値を更新しました。旧村上ファンド系投資会社が関東財務局に提出した大量保有報告書でコーナン株を5.19%保有していることが判明したことで急伸しました。また、投資判断や目標株価の引き上げに反応したのがTOTO(5332)やテルモ(4543)で、TOTOが投資判断の引き上げを受けて3.3%高となったほか、テルモも投資判断と目標株価の引き上げを受けて3.0%高となっています。マザーズ市場では太陽光発電パネルの製造装置メーカーのエヌ・ピー・シー(6255)が14.5%上昇しストップ高となりました。主要顧客である米ファースト・ソーラー(FSLR)が米中西部オハイオ州に3番目の太陽光パネル工場を建設すると発表したことで買いを集めました。

一方で米バイオジェン(BIIB)と共同開発するアルツハイマー型認知症治療薬について米食品医薬品局(FDA)が承認申請を認めると発表したことで昨日、一昨日と2日続けてストップ高となったエーザイ(4523)が7.0%安となりました。上昇して始まりましたが利益確定の売りが出て下落に転じると下げ幅を広げました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は97円高となりました。昨日の米国市場が高値警戒感から下落となったことから売りが先行しましたが、直ぐに切り返すとプラスに転じました。一時節目の29,000円を上回る場面もありましたが、29,000円を超えたところでの上値の重さが強く意識されていることもあって29,000円をわずかに上回ったところで伸び悩みました。なお、今晩はイベントが目白押しで欧州中央銀行(ECB)理事会の結果発表や米新規失業保険申請件数、5月の米消費者物価指数(CPI)などの発表が予定されており、なかでも米CPIは前回が12年7ヶ月ぶりの高い伸びとなり株価急落の引き金となったこともあって注目を集めそうです。また、明日は3ヶ月に一度のメジャーSQで寄り付きの動向が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)