こうした政治の動きはもちろん各相場に影響を与えます。
特に海外の投資家は政治の動きには敏感です。
通常、その国の政治に不安定要素がある場合は、為替はその国の通貨売り、株式は下落、安全資産(債券)への資金の逃避で長期金利は低下という反応を示す傾向が高いのですが、残念ながら市場はいつも同じ反応をするほどシンプルなものではありません。
本日の市場は、株式市場は軟調な展開で始まり、引けは反発して引けました。為替市場は自民大敗でも円高基調。長期金利は先週大きく低下、本日は大きな動きはありません。
日々大量のニュースが飛び交いますが、その中から何に市場が最も反応しているのか、を探すことが「相場を読む」上では大切です。
日本という国について考えるとき、参院選は非常に大きなトピックだったのですが、
● 政権奪取の選挙ではない (政権政党が変わるわけではない)
● 自民党が大敗することは予想されていた (サプライズではない)
この2点から市場はすでに選挙についての要因は織り込み済みで、他の要因に気を配る状況でいたことがわかります。
市場が今、最も気にしている問題の一つは、米国のサブプライム(信用度の低い顧客向け)ローンの焦げ付きに発する信用リスク問題、それにつらなる米国株式市場の動向です。
国内株式市場もその動きに大きく影響されていますが、米国株式市場の動きは世界の株式市場を動かす要因となっています。
また、外国為替市場(円相場)は外国人投資家が行っていた「円キャリー・トレード」がどう動くかに大きく影響されます。ここのところ注目されてきた円高基調は「円キャリーの巻き戻し」と呼ばれ、金利の低い円を調達して外国で運用していた資金を、株式市場も不安定要素(上記米国サブプライム問題)が出てきたこともあり、一度手仕舞いをしてしまおうということで円買いが加速してきたことが要因となっています。
円高が進めば、日本の中心である輸出産業にはダメージにつながり、それはまた国内株式市場の足を引っ張る要因となります。
株式市場の先行きが良くない、となれば当然資金は安全資産である債券へと流れ、それは長期金利を押し下げます。
以上のように世界中の様々なニュースが絡み合い、またその場で反応したり、既に想定内(織り込み済み)として反応が薄かったり、またそれぞれの市場は互いに影響を与え合って相場を形成しています。
ニュースを見るとき、一方向だけの見方をせず、ぜひ多角的に様々な方向から捉えるようにしてみてください。想像をふくらませ、連想することは相場を見ていくときには有効な訓練になると思います。