為替相場が大幅な円安水準にあります。
外貨投資をされている方にとっては、為替差益も大幅に計上されてホクホクされている方も多いことでしょう。

先週、内海元財務官からこんなコメントがありました。
「1ドル=115円プラス・マイナス5円ぐらいが適当なところで、その辺に大体収まってくるのではないか。」
「ユーロについては160円プラス・マイナス5円。」
相場の「適当」というのは非常に難しいところですが、過去の値動きの推移や貿易量などから計算される理論価格などがベースにされることが一般的です。ドル円については歴史がある分イメージしやすいものですが、ユーロは通貨としてデビューしてからの歴史が浅く、デビュー当初を除いてほとんど一本調子で上昇しているだけに、専門家でもコメントするのが難しい通貨と言えるでしょう。

ところで、日本にいると通貨は対円レートだけで考えがちですが、本来為替市場では米ドルが基軸通貨となっていますので、ベースになるのは対ドルレートです。

日本の市場ではドル円とユーロ円の取引がほとんどを占めていますが、世界の市場ではユーロドルが中心です。
ドル円、ユーロ円、ユーロドルなど、通貨の読み方のルールはこちら>
http://www.monexuniv.co.jp/mail_magazine/2007/07/okanenosodan0706.html
為替市場というのは「東京市場」といっても主として動いているのが東京というだけで、ロンドン→NYと全てつながっています。また、世界中の為替ディーラーが時間帯関係なくオーダーを置きますし、場合によっては夜中(それぞれの地域の時間で)にも起きてディールをしている、という24時間眠らない市場です。株式市場のように開いたり、閉まったりするものではないのです。日本円だけを中心に考えていると、実は世界の流れに置いていかれるかもしれない、というリスクもあることを注意しておきましょう。
(もちろん日本円は世界の第3位の取引量のある通貨ではありますが・・・)
対円レートはクロス円と呼ばれます。何をクロス(交差)しているのかといえば、その通貨の対ドルレートとドル円レートとのクロスです。
ある通貨が強く、対ドルでかなり買われ、通貨高(ドル安)となったとしても、同時に、もしドル円がすごく円高(ドル安)になっているとすると(つまり世界的なドル安になった場合)その通貨対円のレートはどうなるでしょう?
ユーロ円を例にしてみましょう。(実際のレートとは全く異なります) 1. ドル円が125円、ユーロドルが1.3だとすると   125×1.3=162.5円 2.ドル円が100円、ユーロドルが1.625だとすると  100×1.625=162.5円1、2のどちらもユーロ円は162.5円になりますね。
※ユーロ円は掛け算によって求めますが、通貨によっては割り算で対円レート を求めますので注意してください。

もしこの例のようなことがあれば、1で「ユーロを買った」、2になり「ユーロが世界的に強くなった」といっても、残念ながら対円レートで見ると為替差益は出ないことになってしまいます。

預金や債券などの場合、手持ちの円資産から購入することが多いと思いますので、必然的に対円のレートが主となりますが、FXのように通貨ペアを選べる金融商品の場合は、クロス円の考え方を知っておいた上で取引する通貨を決められるとよいでしょう。
ただ、その場合はどちらが金利の高い通貨であるかを確認することをお忘れなく。
(金利の低い通貨を買い持ちするとスワップポイントを【支払う】こととなりますので・・・)