日本では昨年ゼロ金利解除後、今年2月に追加利上げ、現在は早期の追加利上げが期待されつつ、その動向が注視されています。(先週金曜日の金融政策決定会合では追加利上げはせず、現在は0.50%です。)実は金利上昇は世界的な傾向です。

先日(6/7)ニュージーランドが突然の利上げをして、政策金利を8.00%にしました。通常為替相場は様々な予測の元に動くのですが、こうした予想外の動きがあると相場は乱高下しやすくなります。ニュージーランド・ドル(以下NZD)の場合は利上げによる急騰、介入による急落とかなり激しい動きをしています。
先週末注目された為替の動きはユーロです。対円レートでは最高値を更新、165円台にのせました。ユーロの政策金利も6/6に利上げされ4.00%になっています。先週末は英ボンドも対円レートで高値更新244円台に上昇しました。イギリスは5月に政策金利を5.50%にしています。
ちなみに米国の政策金利は5.25%です。日本の利上げ期待といったところで、各国との金利差は前述のようにまだまだ大きいものです。

この金利差を利用した「円キャリートレード」という言葉も皆さまにはお馴染みになってきていると思いますが、低金利の円を調達し、高金利通貨に替えて運用するという手法で外国人投資家の間で多く利用されているものです。
実は個人投資家も同様に金利差を利用した取引を行う人が増えてきています。外国為替保証金取引(FX)がその代表的な商品です。記憶に新しいと思いますが、「FXでの利益4億円の申告漏れの主婦」が新聞を賑わせたこともあり、手軽に大儲けできるとイメージされた人も多かったようです。

FXはその名の通り、外国為替を取引するもので、保証金を差し入れることでその何倍もの資金の取引ができます。つまり自己資金以上の投資が可能となるため、上手くいけば大きな利益を得ることができますが、失敗すれば大きくマイナス(損失の拡大を防ぐための機能としてロスカット機能などがありますが)になる可能性もあるハイリスク商品です。

1998年の外為法改正より個人投資家が外国為替の取引を行えるようになり、その後FXを取扱う金融機関も増えたことで機能も充実し、現在ではたしかに手軽に取り扱える身近な商品になってきたことは事実です。

ただ、リスクと仕組みをよく理解しておくことは必須です。

FXでは外国為替の売買による為替差損益のほか、もう一つ損益源になるものがあります。通貨を保有している期間、日々受払いが生じる金利差から計算されるスワップ・ポイントです。為替差損益以外に金利部分のやり取りが生じるところが、この商品の特徴で、具体的には、高金利通貨を購入した場合、売却した通貨との金利差を日割りにしたものを日々受け取ることができます。逆に高金利通貨を売却するとスワップ・ポイントの払いが生じることとなります。
最初に金利の高い通貨をいくつか紹介しました。NZDを例にしてみましょう。NZDを対円で購入した場合、金利差だけに注目すれば単純に計算すると7%(年利)以上の受けとなります。外貨預金をするよりずっと魅力的なのも事実ですが、(外貨預金や外債にも通じますが)この7%の金利差が年利だということ、金利にだけ注目をして為替相場の動きを忘れてしまうと、あっという間に稼いだ金利分など飛んでしまうことになることに注意しましょう。

ちなみにここ3ヶ月はNZD/円は大きく上昇しており、購入していた方は為替差益も金利差も得る好結果の投資ができたことになります。
例えば3月15日から6月15日の3ヶ月間でNZD/円(NY終値)は、81.76から93.13と55.6%(年利・単純比では13.9%)も上昇しています。もし逆の動きであれば金利差などあっという間に消えてしまいますよね。

また、注意すべきは為替レートの仕組で、NZD/円を購入するということは、外国為替相場においてはNZD/米ドルを購入し、米ドル/円を売っていることになります。米ドルは基軸通貨であり、他通貨を売買するときは多くの通貨の場合、米ドルを介していることになります。最近のNZD/円の上昇はニュージーランドの利上げだけではなく、米ドル/円の上昇による影響も大きいのです。
たとえその通貨が利上げをしても米ドル/円が著しく下落すれば、対円ではその通貨高になるとは限らないということです。

米ドルのように流通量が多く、市場も大きいものは別にして、高金利通貨には為替相場の値動きの激しいものも多いので、注意しましょう。
「高金利通貨」にはほかにも注意点がありますが、続きは来週に・・・-----
EXTENDED BODY: