最近TVにも地球温暖化による異常気象についての番組が多くなっているような気がしませんか?日本だけではなく、世界規模の異常気象です。

日本の四季の移ろいは美しいはずですが、最近は南国のスコールのような雨が降ったり、猛暑が続いたり、冬にはすごい大雪かと思えば、雪がほとんど降らなかったりとその変化はかなり激しく、「わび、さび」といった風情はありません。
四季を愛でる文化が、古来日本では発展してきたのですが、残念ながら昔の人が詩に詠んだような四季感は少なくなりつつあるようです。
天気予報で「平年並み」という言葉はあまり聞かなくなりましたよね。
天気・天候の変化は風雅なものへの影響だけではなく、もちろんビジネスにも多大な影響を及ぼします。

農業はもちろんのこと、電化製品やエネルギー関連、食品・飲料、衣料にレジャー関連などなど多くの産業が天候に左右される、つまり天候リスクを抱えているのです。
毎年の収益が天候によって決まってしまうのでは予算も計画も立てにくいものです。
そこで、こうした天候による収益減少や支出増大をある程度コントロールすることが可能な商品が登場したのです。

「天候デリバティブ」と呼ばれるもので、天候の影響による収益減少のリスクヘッジや年間の収益平準化が可能になります。主に損害保険会社が手がけている商品です。

投資の世界にもオルタナティブ投資=代替投資がありますが、リスクヘッジの商品にもオルタナティブ・リスク・トランスファー(ART)=代替的リスク移転と呼ばれるものがあるということです。伝統的な保険手法に対し、新しい手法を用いたリスクマネジメント手法を総称するもので、この「天候デリバティブ」もその一つです。

天候デリバティブは、一般的には、事前に一定の料金(オプション料)を支払うことにより、異常気象が発生した場合に、補償金を受け取ることができる一種のオプション取引(金融派生商品)です。

気温や降水量、積雪量など対象になる天候(気象)を決め、その観測地点を決めます。補償金支払が発生する状況を(行使値)と補償期間、支払方法、最大補償金額などを決めて設計します。通常個別のオーダーメイド設計が可能です。

損害があった場合の実損補填が原則の保険と異なり、天候デリバティブでは、設定された異常気象が発生すれば、補償金が支払われるため、企業にとっては収益の安定化を図ることが可能となります。
複雑で時間のかかる損害額の査定や手続きは不要で、比較的簡単に補償金を手にすることができる点も通常の損害保険より便利であると言えます。

欧米では、天候デリバティブを使っての天候リスクヘッジは浸透しつつあります。天候デリバティブは、1997年に米国のエンロン社が開発した後、拡大していきました。
日本でも欧米のこうした動きやニーズに合わせて、損害保険会社を中心に天候デリバティブを提供するようになってきたのです。

一見、個人には直接関係ないように見えますが、よく見かける「冷夏にエアコンを購入したお客様へのキャッシュバック・キャンペーン」などはこうした天候デリバティブによる収益の安定化を原資にプロモーションへの活用をしたものだったりするのです

難しい、よくわからない、というイメージが強いデリバティブ(金融派生)商品ですが、実は私たちの生活にもかかわってきているのです。
敬遠しないで、付き合っていけるとよいですね。