先週は女性向けの保険についてお話をしました。
今週は投資信託について取り上げたいと思います。

「女性向け」という言葉でひとくくりにされた商品を、女性だからという理由だけで購入するのは気をつけましょう、という話を先週しました。そうはいっても保険商品の場合、女性向けであれば女性特有の病気に対する保障を厚くしたり、と実利にかなった提案も充分にありますので、「自分に必要か」の判断で決めていけばよいわけです。

さて、投資信託はどうでしょう？「女性向け」ってどういう内容なのでしょうか？

女性に認知度の高い企業に投資する、ブランド企業に投資する、女性の喜ぶプレゼント(エステやスイーツなど)をつける、女性にアンケートをとってリクエストに応える・・・・皆さんは買ってみたくなりましたでしょうか？

ここで、ちょっと寄り道をして投資信託を選ぶときの基本をお話しましょう。投資信託の良し悪しを決める判断基準にはいくつかのポイントがあります。　まずは運用実績です。そのファンドのパフォーマンスはどうであるか(リスクリターンのバランスなどを含む)は当然投資したお金の行く末に関係しますので、大変重要です。
投資信託はタイプによって評価方法は異なります。
ＴＯＰＩＸに連動させるようなインデックスファンドと呼ばれるタイプであれば、ベンチマーク　（＝指標　比較対象のこと)となるＴＯＰＩＸにいかにきっちり連動できているかが評価のポイントとなります。
アクティブファンドと呼ばれるタイプは、ベンチマークを上回る運用成果を目指すもので、いかに上回る実績を残せているかによって評価されます。
次に手数料(諸費用)も大切なポイントです。投資信託には販売時に販売手数料がかかり（かからないノーロードファンドというものもあり、また、販売会社によっても異なります）、保有中は信託報酬などの諸費用が差し引かれ、また場合によっては換金時にも諸経費(信託財産留保額)がかかる仕組みとなっています。
リターンに対して割高ではないのか、ということは重要なポイントです。価格が下がっても信託報酬などの諸費用は必ずかかる、ということを確認してください。

そしてお金を託すファンドマネージャーの運用方針はどうか、も大切です。どういった手法で、何に着眼して投資する企業を選択しているのか、ファンドの強みは何なのか、を知ることは大切です。

以上のような運用実績、手数料、投資手法といったものを知り、比較した上で、自分の大切なお金を託せるかどうかを判断することが投資信託を選ぶときの大切なポイントとなります。

ところで、そのようにして皆さんが投資信託を購入するのは何のためでしょうか？
上手にリスク分散し（つまり分散投資の一つとしてご自分の財産を守りながら・・・）、効率よく「お金を殖やすこと」が目的ではありませんか？

さて、ここで女性向け投資信託に話を戻しましょう。

「女性向け」ということを売りにしている場合、残念ながらそのパフォーマンスをアピールしているところはあまりありません。（まだ設定されて日も浅いため、パフォーマンスを比較することも難しいのは事実です。）それどころかベンチマークのない投資信託もあります。つまり比較する指標がなく、その運用成果を確認できないのです。

手数料はどうでしょう？これはそれぞれですので、ファンドのタイプ毎に他のファンドと比較してみるとよいでしょう。

女性認知度の高い企業に投資する、ブランド企業に投資する、これは投資方針といってよいと思いますが、女性認知度が高いということは、必ずしも将来性のある、収益性の高い企業でしょうか？
「投資」の本来の目的を考えれば前述のとおり「お金を効率的に殖やすこと」のはずです。有名＝株価が上がるわけではありません。
同様に女性の好むプレゼントがもらえる、とありますが金融商品を選ぶ目的はプレゼントではないはずですよね。エステに行きたくて、そのプレゼント目当てに金融商品を買うなら本末転倒。充分なリターンを上げられれば、しっかりと自腹でエステに行けます！

女性にアンケートをとって、毎月お小遣いがもらえるとうれしいという声に応えて毎月分配型にしているものもあります。
運用の基本の一つに再投資すること(複利)の効果を活用することがあります。再投資することで効率的に元本を殖やすことが可能なのです。毎月分配してしまうと複利効果は得られなくなります。
また分配する度に税金が引かれてしまうというデメリットもあります。そうしたことを知らない女性にアンケートをして、「お小遣いはうれしい」という声だけを取り上げることが、金融のプロとして求められていることなのでしょうか？
こうしたファンドはパンフレットも女性向けにかわいらしい装丁にして、若い女性、投資初心者の女性を対象として想定していることを想像できます。　年齢が若い方が対象であれば、なおさら長期で元本を効率的に殖やすタイプが必要とされるはずですよね。

本来投資商品に男女の差はないはずです。そして誰でも投資に求めているのは、繰り返しになりますが、より確実に安定的にリターンを得ることでしょう。　初心者の方の場合、親しみやすいことは大切かもしれませんが、本来の目的をしっかりと確認して投資信託を選ぶ際のポイントをはずさないように気をつけましょう。