マネックス証券がシニアのお客様向けに行ったアンケートの結果(統計)を見ました。これは口座保有の50代以上のお客様4800名と口座を保有されていない(50代、60代男女それぞれ100名の資産運用に興味のある方)400名に行ったアンケートです。

ちなみにアンケートに回答された口座保有のお客様の男女比は85:15と男性が中心です。日本全国の平均値とは言えないまでも、多くのシニア世代の方を代表する声だと考えてもよいのではないでしょうか。

さて、アンケートの中身です。どんなセカンドライフを考えているか、などライフプランに関するものから投資経験のある金融商品、今後投資したい金融商品など多岐にわたっています。その中で「現在保有はしていないが、興味があり、今後運用したい金融商品は何ですか?」という質問の結果は興味深いものがありました。

マネックス証券に口座を保有されている方も保有されていない方も共に国内株式については既に保有していると回答された方が多く、それぞれ92.2%、93.9%もの数字が出ていました。そのため「今後運用したい」と言う質問の中では低い比率でした。

投資信託についても既に経験のある方が多く、様々なタイプの投資信託(国内外の株・債券に投資)の購入経験があるようです。

目立ったのは外国株式と外貨預金です。
外貨建ての運用に興味がある、という表れなのでしょう。(でも選択肢の中には他に「外貨建てMMF」「外貨建て債券」もありました。)

それにしても外国株式と外貨預金、いずれも外貨建てではありますが、商品性が大きく異なり、この二つが突出しているというのは興味深いと思いませんか?マネー雑誌などで外貨建て商品の中では初心者向けと紹介される外貨預金と、かなり上級者向けとして紹介される外国株式の二つです。

外国株式に投資をしてみたいと考えていらっしゃる方は、マネックス証券に口座を保有されている方で17.9%、保有されていない方で15.3%いらっしゃいました。

外貨建てで、しかも株式ということで、リスクはかなり高い商品になります。シニアの方は比較的保守的な運用を好まれるのではないかと勝手に想像しておりましたから、これほど興味をもたれる方が多いということに驚きました。外国といってもどこの国を指すのかまではアンケートにはありませんでしたが、BRICsをはじめとする新興国に興味をもたれている方が多いのではないかと想像します。

国内株式の経験がある方がほとんどなので、日本という成熟したマーケットより今後大きく成長を期待できるマーケットで運用したいということなのではないでしょうか。ですが海外の株式に投資する投資信託という形ではなく、個別銘柄を選択する外貨建ての「外国株式」に興味がある方が多いのが意外でした。

もう1つ数値が高かった外貨預金ですが、今後したいと考えていらっしゃる方は、マネックス証券に口座を保有されている方で13.3%、保有されていない方で17.7%いらっしゃいました。

株式投資経験の豊富な方がなぜ外貨預金?「外貨建て商品についてどのようにお考えですか?」という質問に対して、マネックス証券に口座を保有されている方の36%の方が「国際分散投資の観点から運用資産の一部に組み入れたい」と考えていらっしゃいました。つまり安定的な運用の一つとして外貨を組み入れるため、安全性の高い「外貨建て商品」として選択したということでしょう。
国際分散投資は大変重要、かつ効果的な手法であり、シニアの多くの方がセカンドライフの資産運用に国際分散投資をしていこうと考えていらっしゃることは、いろいろな所で声を大にして「外貨建て運用をポートフォリオに取り入れましょう!」と言い続けている私としてはうれしい発見でした。でも、その安全性の高い「外貨建て商品」が「外貨預金」で本当によいのでしょうか?
まず「保有」することを目的としているのであれば、少しでも安定的に利回りの高いものがよいはずですよね。それで「預金」→「外貨預金」となったのだと思いますが、外貨預金の金利って実は残念ながらあまり魅力的とは言えません。

現在金利の高い米ドルも、平均的なケースで、外貨預金で1年定期だと3〜3.7%程度なのです。ちなみに外貨普通預金だとなんと0.05〜0.1%!1年定期は日本円の金利よりは随分高いですが、これに対して米ドルMMFだとどのくらいの利回りかといえば、約4.66%(直近7日間実績平均利回り・年率換算)あるのです!そして外貨定期預金は原則中途解約できませんが、外貨MMFは出し入れも自由なのです。外貨預金よりは外貨MMFの方がずっと使いやすいと思いませんか?

外貨MMFは「格付の高い各国通貨建ての短期証券を中心に運用」する商品です。預金のようにその通貨建ての「元本保証」とはいえませんが、その通貨建ての元本割れの可能性は極めて低く、安全性は高いと言えるのです。もう1つ、もっと長く保有できるのであれば、外貨建て債券も金利に魅力のある商品です。現在マネックス証券で売り出し中のものであれば4年もの(米ドル建て)で4.46%。金利の動きを捉えながら運用する場合、高金利のときに長めに固定、低金利のときは変動で流動性を保つというのは重要な戦略です。

「債券」というだけで、金利リスクや発行元の信用リスクなどがあって(途中売却時に)元本保証でないことからハードルが高いように思われる方もいるようですが、実は発行元さえキチンとしていれば満期(償還)になれば元本が戻ってくるという安全性の高い商品です。ポートフォリオの中にはぜひ積極的に組み入れていきたいものです。

これから外貨建て商品を保有しよう、と考えられている方はぜひこうしたことを事前に確認され、為替手数料などのコストも充分に比較してから運用を始めるようにしてはいかがでしょうか。