今年1月に小中学生向けにマネックス証券が行った「株のがっこう」が書籍になりました。「中学生への授業をもとにした世界一簡単な「株」の本」といいます。(http://www.monexuniv.co.jp/book/#finance)
この書籍には私自身も登場しているのですが、「株のがっこう」のときにお話したことがまとめられています。
今回書籍を手にして、あらためて子供に対する投資教育について考えてみました。「株のがっこう」は投資教育の対象が子供だったことで、当時様々なメディアで取り上げられ、その中に教育関係の方もいらっしゃって、私も取材を受けました。
学校教育者の間では子供に対する投資教育には賛成と反対が真二つになっているとのこと。そのとき二つのことが頭に浮かびました
・株=投機的=ギャンブルだと考えられている
・教育者(先生方)が実際に投資をしていらっしゃらない
以前にも書いたことがありますが、日本では昔から学校で金銭のこと(投資の前段階です)について教えるという習慣はありません。お金のことを語るのは卑しいこと、という儒教的文化が古くから根付いているせいかもしれませんね。
教職という立場におられる方々自身も、子供の頃から「お金のことを語るなんてよくない。ましてやお金を儲ける話なんて・・・」と教育されてきた方も多いことでしょう。
お金儲けといえば、その代表は株式投資。ニュースで見聞きする株式投資の話といえば、瞬時に大儲けした人や大損をした人の話ばかりです。そんなギャンブルのような世界に教え子たちを近づけたくない・・・・というのが反対派の方たちではないでしょうか。
当然のことながら、ご自身もそんなギャンブルに身をやつしてはいけない、との考えから株式投資は「してはいけないもの」のリストの上位に置かれているかもしれません。
でも今の日本はお金がなければ生きていけないのも事実です。お金の大切さや正しい使い方を知ることは、豊かに育ってきた小中学生にこそ大切なのではないかと私個人は考えています。
お金について学ぶこと=株式投資とは言いませんが、お金がどのように世の中で循環しているのか、どんな役目を担っているのか、という金銭教育から始めていけば、社会の仕組、会社というもの、そして株式とは何かというところに行き着いていくと思います。
投資というのは、決してギャンブルのような一か八かのものではなく、社会の仕組を知り、経済の動きを知って行うことによって、長い目で見て、社会だけではなく自分自身にもお金を還元させていくものです。その方法の一つが株式投資なのです。
私は教職についておられる方々にこそ、投資に取り組んでいただきたいと思います。ご自分が経済社会の流れやお金の循環のことを実感していくことで、より本来の「投資」について理解を深めていただけるものと思いますし、やがて社会に巣立っていく教え子に世の中の仕組をいち早く教えていくことが決して卑しいことではないと感じていただけると信じています。実際にそうして地道に取り組んでいらっしゃる先生方も多くいらっしゃいますし、そうした方々が賛成派の方なのだと思います。
民間ではすでに子供への経済教育を職業体験という遊びの場で行うという施設もできています。子供たちはきっと遊びではなく、真剣に働き、お金を稼ぐということを体験していることと思います。
(http://www.kidzania.jp/top.html)
教育の場でも、ぜひとも経済や投資のことを歪んだ目で見ないで捉えていってほしいと切に願っています。
まずは教育に携わっていらっしゃる方、保護者の方々から投資と向き合っていただきたいものです。