早いもので11月も終わりに近づいています。「師走」に入れば、字のごとくあっ
という間に過ぎていくことでしょう。1年って早いものですね。ついこの前2006年になったと思っていたのに・・・!
さて、多くのサラリーマンの方はこの時期、年末調整の用紙に書き込みをされている(もしくはされた)ことと思います。サラリーマンの場合、この紙に書き込んで提出さえすれば、大抵の場合面倒な課税関係は人事部が全部代わりに行ってくれます。
今年住宅を購入した方や多額の医療費を支払った方や2000万円を超える給与収入のある方、給与以外に収入のある方など確定申告が必要な人以外は。
私もそうだったのですが、社会人になってからずっとサラリーマンを続けていると、本当は非常に大切である社会保険や税金のことを知る機会はなく過ごしてしまいがちです。これってとても楽なことではあるのですが、いざ「確定申告をする」となると必要以上に怖気づいてしまったり、せっかく税金が還付される機会を面倒がってあきらめてしまったり、ということもありがちです。
社会保険のルールも税制もどんどん改訂されていくものではありますが、少なくとも保険料を支払い、税金も支払っているのですから現在どんな仕組みになっているのかを知っておくことは大切だと思います。
私自身、以前の会社を退職して一時期フリーになったとき、自分がいかに年金制度も健康保険制度も税金についても知らなかったかということを思い知りました。
金融機関にいたので、お金についてはある程度知識があるつもりだったのですが、社会生活を営んでいく中で基本となっているお金については、何も知らずにいたのです。せっかくだから学んでみよう、というのがFPになったきっかけでもあります。
年末調整にからんだ税金についての話を少し取り上げてみましょう。
税金額を求めるとき、「収入」「所得」という言葉は違う意味を持ちますので注意が必要です。これは「配偶者控除」「配偶者特別控除」を考えるときにも重要で、配偶者の「収入」と「合計所得」の意味を一緒に考えてしまうと「控除が受けられない!」と慌ててしまう方もいるかもしれません。配偶者の方がフリーで雑所得を得ているような場合、特に混乱が生じることがあるようです。
税金の世界で「所得金額」とは「収入金額―必要経費」です。配偶者特別控除の対象になるかどうかは「合計所得金額」を見るようにしてくださいね。 専業主婦の奥様がアルバイトをしているようなケースでは、このあたりを注意してください。
また、年末調整においては、「生命保険」「個人年金」「損害保険」、といったものの保険料の控除を申告します。記入された経験のある方はご存知の通り、払った保険料そのものの金額というわけではなく、計算をして控除額を求めます。
この保険料控除は所得金額から控除される「所得控除」です。課税所得(課税の対象になる所得)を少なくすることができるのですが、上限がありますからいくら高額の保険料を支払っていても全部が対象になるわけではありません。
年末調整と少し離れますが、「所得控除」に対して「税額控除」というのもあります。こちらは算出した税額そのものから控除する、つまり税金が安くなるということです。
こちらにあたるのが「配当控除」や「住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」などです。
資産運用をされている方は、この「配当控除」にはぜひ注目してください。 株式を保有して一定の配当金を受け取っている方は、確定申告をすることで配当控除を受けて税金を安くすることができます。ご本人の収入と受け取る配当額によって差が出ますのでぜひ調べてみてくださいね。(投資信託の収益分配金は源泉分離課税なので対象外です。)
居住用の住宅を購入するときに借り入れた住宅ローンで、毎年年末に残高がある場合は上記の特別控除があります。こちらは、初年度は確定申告が必要ですが、翌年以降は年末調整だけで大丈夫です。
このようにちょっと知っておくと得をすることってあるのです。社会保険のルールについても同様です。知らなくて大損はしないかもしれないけれど、知っていることでちょっとの得はうれしいですよね。