最近日本には「新富裕層」と呼ばれる人々が増えているようです。景気が回復してきていることが根底にはあるとは思いますが、これも格差社会の現れでしょうか。

日本社会も年功序列、終身雇用が崩れ去り、欧米風の企業風土に変わりつつあるところも多いかと思います。人材が流動化し、企業側は優秀な社員を確保するため、実力に応じて高額なボーナスを支払ったり、ストックオプション(一定の株価で会社の株式を手に入れる権利。権利行使時に株価が上がっていればそれだけ大きな差益を手にすることができます。)をボーナスとして支払ったりするようになってきています。また独立し、起業・公開することで保有株式の価値が高騰して大金持ちになる人もいます。
若くして大金を手にする人が増えているのはこういった事情があるせいですね。
「セレブ」という言葉が氾濫し、贅沢な生活をメディアに公開している人たちもいます。なんだかそこだけ見ると、バブル期の再来のようです。でも、バブル期と異なるのは、世の中全体が羽振りが良いわけではないところでしょうか。「セレブ」の出ている雑誌を見ながら、景気の回復なんて全く実感できない人も大勢いるのが「今」なのではないかと思います。

さて急にお金を手にした人の悩みの一つが、「お金をどう使うか」だといいます。(本当に贅沢な悩みですよね。)欲しい物は大体手に入れた、でもお金はある、どうすればよいのだろう・・・ということです。それから、急速にお金持ちにはなったけれど、バブル崩壊も知っている、となれば未来永劫ずっとお金持ちでいられるという自信も確約もない、という場合があります。そういった点から新富裕層はお金に対しては堅実な見方をしているとも言われます。
そこで、お金持ちにも計画的な資産運用が大変重要になってきます。もちろん、目的は「とにかく増やす」ということより、「しっかり守って減らさない」、
「なるべく減らさないで子や孫に相続させる」というものになるでしょう。
「守って減らさない」ことを目的にするのであれば、必要以上にリスクをとらず、かつ一定以上の安定的な利回りを追及することになります。また目先のお金に追われるわけではない富裕層の場合、より長期的なスタンスで投資に取り組めます。ブレを少なくするための分散投資、つまりアセットアロケーションをしっかりとすることが大切なのは運用資金額の大小に関わらないということですね。

ただ運用資金額が大きくなると、投資先として考えられる選択肢が広がってきますし、国際分散投資を行う際に単に「外貨建て資産を保有する」のを「外国に保有する」といった方法も有効になってきます。(手続きの煩雑さやコストを考えると、ある一定以上の資金があるほうが効率的といえます。)また、保有資産の投資先を金融商品以外のものに振り分けることもあるかと思います。金融資産額によってはそうした際の手続きをプライベート・バンクに託す、といったことも可能となります。

また、運用金額が大きくなることで、個別銘柄を管理するのが煩雑になるということから、世界各国のさまざまなタイプのETFを活用してアセットアロケーションを完結させるという話も聞きました。相続を念頭に生命保険を活用される例もありますし、土地を有効活用化させることも大切です。相続の際の財産評価は資産をどのような形態でもっているかで変わってきます。つまり相続税額もそれによって変わってくるわけで、税金対策というのは富裕層にとって大変重要なポイントとなります。

運用金額が大きくなれば、その分さまざまな知識やアフターケアも必要となってきますので、そうした場合は個人で完結させるのは難しくなってくるでしょう。信用のおけるプライベート・バンクに口座を保有したり、独立系FP(「節約系」ではなく富裕層向けの資産運用、保険や税金の知識と実績のあるところ)と契約して助言を受けることも有効だと思います。

今の世の中、金融詐欺がたくさんあります。旨い話だけ持ってくるケースには十分に注意を払ってください。リターンには必ずそれ相応のリスクがあるものです。自分と(家族と)お金をしっかりと守るためには、それ相応の知識武装しておくことはお金持ちも普通の人も、皆必要となってきていますね。