【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 34,060.36  △239.98 (4/29)
NASDAQ: 14,082.55  △31.52 (4/29)

1.概況

28日の米国市場は決算を発表した一部銘柄に売りが出て下落となりました。ダウ平均は124ドル安でスタートすると朝方に179ドル安まで下落するなど軟調に推移しましたが、FOMCの結果を受けて緩和的な金融政策が長く続くとの見方が強まり取引終盤には38ドル安まで持ち直す場面もありました。しかし、戻し切れないと引けにかけて再び下げ幅を広げ結局164ドル安の33,820ドルで取引を終え反落となっています。また、S&P500株価指数も3ポイント安の4,183ポイントと続落となったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も39ポイント安の14,051ポイントとなりこちらも続落となっています。

昨日の米国市場はバイデン米大統領の施政方針演説を受けて大型の財政支出が米景気の回復を後押しするとの見方が強まり反発し、S&P500株価指数が史上最高値を更新しました。35ドル高でスタートしたダウ平均は直後に210ドル高余りまで上昇した後上げ幅を縮めるとマイナスに転じ昼過ぎに76ドル安まで下落しましたが、その後持ち直すと大きく上げ幅を広げ取引終盤に266ドル高まで上昇し結局239ドル高の34,060ドルで取引を終え反発となっています。また、S&P500株価指数が28ポイント高の4,211ポイントと3日ぶりに反発し26日に付けた史上最高値(4,187ポイント)を更新したほか、ナスダック総合株価指数も31ポイント高の14,082ポイントとなりこちらも3日ぶりに反発となっています。

2.経済指標等

28日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)では金融政策の現状維持が決まりました。また、声明では米経済を支えるために全ての政策手段を使って取り組み、それによって雇用最大化と物価安定の目標達成を促進するとしたほか、FOMC後の会見でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は資産購入の縮小について、まだその時期ではないとの見解を示しています。

昨日に発表となった1-3月期の米実質GDP速報値は前期比年率換算で6.4%増となり市場予想を上回りました。一方で先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比1万3000件減の55万3000件となりましたが市場予想ほど改善しませんでした。また、3月の米中古住宅販売仮契約指数も前月比1.9%増の111.3に止まり市場予想を下回りました。

3.業種別動向

28日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち5業種が上げ、エネルギーが3%を超える上昇となったほか、コミュニケーション・サービスも1%以上上げました。一方で情報技術やヘルスケアなどの5業種が下げ、情報技術は1%近く下落しました。一般消費財・サービスは変わらずでした。

昨日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が上げました。そのなかでもコミュニケーション・サービスが3%近く上昇したほか、金融も2%近く上げました。また、エネルギーと生活必需品も1%以上上昇しています。一方でヘルスケアと情報技術の2業種が下げています。

4.個別銘柄動向

28日の米国市場では決算が市場予想を大幅に上回る増収増益となったグーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)が3%近く上げ上場来高値を更新しました。また、原油価格の上昇を受けてシェブロン(CVX)が2%以上上げダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなっています。一方で決算が市場予想に反して減収となったアムジェン(AMGN)が7%を超える下落となり1銘柄でダウ平均を120ドル余り押し下げました。さらに決算で赤字幅が市場予想以上に膨らんだボーイング(BA)も3%近く下げたほか、好決算を発表したマイクロソフト(MSFT)も材料出尽くしの売りに押されて3%近く下落しています。

昨日の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中24銘柄が上げました。そのなかでもナイキ(NKE)とJPモルガン・チェース(JPM)が2%近く上昇しました。一方で決算で売上高と1株利益が市場予想を下回ったメルク(MRK)が4%以上下げ、半導体不足が生産に影響する可能性があるとの見方を示したキャタピラー(CAT)も2%余り下落しています。ダウ平均構成銘柄以外では、決算が市場予想を上回る大幅な増収増益となったフェイスブック(FB)が1%を超える上昇となりました。決算で売上高と1株利益が市場予想を上回った半導体のクアルコム(QCOM)も4%以上上げています。電子商取引大手のイーベイ(EBAY)は4-6月期の1株利益の見通しが市場予想を下回ったことで急落し10%安となっています。半導体不足の影響で4-6月期の生産が計画から5割減るとの見通しを示したフォード・モーター(F)も9%以上下落しました。

5.為替・金利等

28日の長期金利は0.01%低い1.61%となりました。昨日の長期金利は0.02%高い1.63%となっています。ドル円は108円90銭台で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

28日の米国市場が下落となった一方で、昨日の米国市場が上昇となったことから本日の日本市場は小動きでのスタートが予想されます。こうしたなか明日から5連休ということもあって様子見ムードの強い一日となりそうです。また、本日は日本時間の10時と10時45分に中国の製造業PMIが発表される予定で注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)