株の下げが止まりませんね。
ちょうど1週間前の2月26日の終値は約6年9ヶ月ぶりの高値更新の18,215円35銭でした。本日の終値が16,642円25銭ですから1,573円10銭の下落、率にして8.6%の下落です。
為替相場も大きく動いています。本日午後4時30分時点でドル円は115円29-30銭。ちなみに1週間前の26日午後5時時点では120円87-88銭。ざっくりと5.6円、4.6%の下落です。(ドル円の下落=円高ドル安です)
各相場は常に連動しており、また市場は生き物である、というお話は先週もしました。
先週セオリーどおりに動かない話をしましたが今回もさまざまな状況が重なった上で、一般的なセオリーからは外れた動きとなりました。
連動、という意味では今回の株安はまさに世界連鎖という動きでしたね。中国株安に端を発し、あっという間にぐるりと地球を一周して同時株安と相成りました。
アメリカがくしゃみをすると日本が風邪を引く、というのは以前からよく言われていましたが、今回は世界で一箇所がくしゃみをすると一斉に風邪を引く感じでした。この瞬間的な反応については、世界中の株式市場がどこも加熱気味な上昇をしているところで、調整場が必要だったことも大きいでしょう。
日本市場だけを見て、セオリー通りであれば、これだけ日本株が売られているのであるから円も売られて円安ドル高になりそうなものです。ですが、実際は大きく円高に振れています。これも連鎖の方が強く影響している結果です。円安ドル高というのは円を売ってドルを買いに行くということですが、今回の世界連鎖は中国株安を受けた米国株式市場の急落が大きな原因となっています。(中国は今回の世界株安の原因ではない、と声明を出していましたが、「きっかけ」ではあったものの「原因」はやはり米国株下落でしょう。)米国経済指標の弱い内容が出たために米国経済への懸念が一気に表れたのですから、ドルを買いにはいけませんよね。
となると投資家は円キャリートレードの解消を行います。
金利の低い日本円を調達し、米国株など高金利通貨で運用することを円キャリートレードといいますが、今回の米国株式の急落に伴いポジションを整理する投資家が多いと見られています。つまり米国株を売って日本円に戻す(円の借り入れを返済)という流れは米国株の下落を加速させ、ひいては日本株も下落させ、同時に円高になるという結果です。(日本円と同様にスイス・フランも堅調です。)
株式相場はBRICKsを中心に過熱感は高まっていましたし、米国は金利の高止まり状況でソフトランディングを目指しているとはいえ、非常に足元の弱い状況にありました。日本株もここのところかなり急ピッチの上昇でしたので、こうした調整はいつ来てもおかしくないという状態でした。
相場は上がりっぱなしも下がりっぱなしもないものですから、必ず調整相場というのはあります。今回は世界同時に起こったこと、その下落幅が大きいこと、高金利通貨が一斉に下落したことが影響を大きくしています。
通常アセット・アロケーションをしていることにより、値動きの異なる資産が互いの動きを補完しやすくなるものですが、今回は日本の投資家にとっては日本株、外国株が同時下落、円高により外貨建て資産が総打撃、日本債券などの金利は相変わらず低いので補完するほどの力は発揮せず・・・と幾重にもパンチを受けてしまった格好です。
もちろん私自身も打撃を受けています・・・ですが、あわてて売買をしようとは思っていません。先ほども書きましたように、調整は必ずあるもの、日本経済の本質的な方向性が変わったわけではないこと(景気循環の方向性でいえば回復期であることには変わりません)、などが理由です。外貨建ても調整の範囲と見ています。
焦って、価格の値動きを見ながら売買するのは「投資」ではなく、タイミングに全てをかける「投機」です。「長期・分散投資」を目指している「投資家」の皆さまも、急落があると途端に「投機家」になってしまうことがあるようです。
冷静に、長い目で経済の流れを見て、焦った取引に走らないように気をつけていきたいですね。(計画的な損切りはもちろん別です。)