新入社員の方にとって、社会人最初の1週間が過ぎたところですね。
私の最寄り駅の近くに新入社員の研修所でもあるのか、4月に入ってから毎朝、一目で新入社員とわかる団体を目にします。まだ着慣れないスーツに身体を押し込んで、朝から元気を振りまいている一団で、なんだかまぶしい感じがします。

新入社員の皆さんの中で、社会保険の仕組みを知っている方はどのくらいいらっしゃるでしょう?実は新入社員に限らず、もう何年も何十年も社会人をしていても、ご自分の給料から天引きされているものの正体について知らない方は多くいるのです。
給料から天引きされるものの代表といえば、税金と社会保険料です。社会保険料には健康保険料と年金保険料がありますが、今日は年金のお話。

20歳になれば学生でも義務として国民年金保険料は支払っているはずですが、会社員になると、「厚生年金保険料」が給料から差し引かれます。国民年金も厚生年金も公的年金と呼ばれるもので、2階建ての仕組みになっています。
20〜60歳の日本在住の人が加入を義務付けられているのが国民年金、それと民間企業に勤務する人は厚生年金に、公務員等は職域別に各共済組合等にも二重に加入します。その厚生年金や共済年金の保険料は事業主と個人が折半する形になっていて、将来の給付は国民年金+厚生年金(もしくは共済年金等)と二重に受けることになります。(ちなみに将来受給するためには国民年金、厚生年金、共済年金など通算して25年以上加入している必要があります!)
これらは公的年金と言われる「年金」ですが、なるほど、民間企業などに勤めれば国民年金に厚生年金が上乗せされるわけですから、老後の心配はなさそう・・・とは残念ながら楽観できないのが現実なのです。

まず金額ですが、政府は年金改革時に現役時代の50%確保と言っておりましたが、実際はその水準に及ばなかったり、今でもぎりぎりで生活している!と言う人にとっては50%ではどうやって生活すればいいの?という水準になってしまうことが多いと思われます。ご自分の受け取り金額の概算を知りたい方(新入社員は無理ですが・・・)はこちら
( http://www.sia.go.jp/sodan/nenkin/simulate/top.htm )をどうぞ参考に。受給開始年齢ですが、会社の定年は60歳のところが多いと思いますが、新入社員の皆さんは今の年金制度においては、65歳になるまで一円も公的年金はもらえません。(昭和36年4月2日生まれ以降の男性と昭和41年4月2日生まれ以降の女性も同じです・・・) 

ピカピカの社会人成り立てに、遠い将来の残酷なお告げ・・・と恨まないでくださいね。
また、今頃そんなこと言われても・・・と社会人暦○十年のような方も、少しでも早めに知ったことは良いことだと思ってください。今から準備をすることができるからです!

さて、企業によっては、こうした厳しい公的年金の上乗せとして「企業年金」を用意しているところがあります。「退職金」という形や「年金」という形、または併用しているところもあります。その企業年金として最近増えているのが「確定拠出年金」、日本版401Kプランとも言われるものです。
「確定拠出」、何が確定しているのかというと企業が従業員のために拠出するお金が確定しているということです。つまり年金保険料が給料から天引きされるのではなく、別途会社から「拠出=支払われる」のです。

支払われたといっても、現金とは別で、特別な口座に振り込まれるので引き出して何かに使うことができるものではありません。言ってみれば将来年金として支払うものの「元」を先に支払う、といったところです。

その資金を原資に自分で年金を育ててください、ということで、集めたお金を会社が運用しておいてくれるのではなく、自分自身で責任をもって運用していかないと「原資」は増えていってくれないのです。
社会人になって渡された書類の中に、この確定拠出年金の書類が含まれている方もいらっしゃると思います。何のことかわからないでいる方もいるかもしれませんが、実はご自分の将来に直結する重要なものなのです!

次回はこの「確定拠出年金」について、もう少し詳しく取り上げますね。給料天引きされている保険料も含め、若いときから年金についても意識を高めていくことが必要な時代になってきています。