景気は街を見るとわかる、と言います。

GDP成長率○%、失業率●%と聞くと世の中がどちらの方向に行っているかはわかるのですが、実感を伴わないことは多いものです。
ちょっと前ですが、街頭インタビューで「日本経済は景気拡大期にある、と言われても自分の周りではちっとも景気は良くない、どこの話かわからない」と答えている方がいましたが、自分のお給料が上がったり、ボーナスが上がったりしなければ、生活感が変わらないため実感しないものかもしれません。就職活動が一気に売り手市場になり、先輩たちの頃に比べ格段に内定が取りやすくなった、というように自分に関係するところに効果が出てくるとようやく景気を肌で感じるようになるものです。

でも、直接自分に恩恵がなくても、街に出てちょっと気をつけて周りを見てみることで、雰囲気の違いは見えてきます。タクシーがつかまりにくくなった、レストランの予約がとりにくくなった、繁華街で人が多くなった、といった具合に。これが文頭の「街を見るとわかる景気」です。

さて、本日のテーマはユーロ圏の経済です。
ご存知のように、通貨としてのユーロは大変強く、ユーロ円で見ると、ユーロ導入後1999年(市場での通貨取引は1999年からスタートしています。貨幣として流通するようになったのは2002年からです。)から2001年にかけては下がりましたが、2001年後半からはほぼ一直線に右肩上がりという強さです。 ユーロが強くなった、その[理由]は様々なところで論じられてきました。・ 地政学的リスク(イラク戦争など)のためドルからの逃避
・ 高金利
・ 経済成長への期待   などなど。

2003年くらいまではユーロ圏の経済状況はあまり芳しくなく、金利も低く(日本に比べれば高いのですが)あまり魅力的な市場ではなかったのですが、ITバブル後で超低金利の日本、9.11後に戦争に突入してしまったアメリカと投資家にとっての選択肢が狭められ、消去法的にユーロにお金は集まっていました。
高金利かどうかといえば、日本と比べれば高くても、アメリカよりは金利は低く、それほど魅力的な水準とはいえません。

それでもユーロは買われ続けます。

さまざまな指標を見ると、ゆっくりとですが、ユーロ圏経済の回復は確実に進んでおり、昨年くらいからそのペースを上げてきています。ユーロ圏は拡大する方向で、経済圏としての期待はますます大きくなっており、このあたりがユーロの強さの一番の理由でしょうか。

残念ながら私自身はここ数年ユーロ圏に足を踏み入れていないので、「街を見て」いません。思い浮かぶヨーロッパの街並みはそれほど活気にあふれている情景ではありません。ですからユーロが強いのも消去法の結果である、実は買われすぎなのではないか、というのが(経済指標を見ていても)自分の中では最もしっくりとする答えでした。

つい先日ヨーロッパから帰ってきた友人と話していて、私自身がもっているイメージとは違うことを感じました。つまり「街を見て」きた人にとっては、大変活気があって明るい雰囲気であった、このユーロの強さは本物、つまり実力である、ということなのです。

街を見て、肌で感じる景気の強さは本物なのでしょう。ユーロの資産比率を増やしておきたいところです。(買いにくい為替水準ではありますが・・・)-----
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