前回アセット・アロケーションの第一歩ともいえる自身の資産の洗い出しについて書きました。ここで次のステップに行きたいとも思うのですが、「初心忘るべからず」 運用を始める前に知っておくべきことについて書きたいと思います。
投資の勉強をしっかりされ、運用経験も豊富な方には当たり前のことかもしれませんが、お付き合いください。
これから運用をしていこうと考えていらっしゃる場合、一番先に理解していただきたいのがリスクとリターンの関係です。
一般に運用の世界において、リスクは決して元本割れすることだけを意味しません。投資した金額に対して、大きくプラスになることも実はリスクの一つです。なぜお金が増えてリスクなの?と思われる方がいらっしゃるかもしれませんね。大きくプラスになる可能性のある商品というのは大きくマイナスにもふれる可能性があるということ。このプラスからマイナスの「ブレ幅」のことを「リスク」と呼ぶのです。
ブレ幅が大きければ大きいほど、リスクが大きいと言います。
株価や金利、為替など価格が動くものは全て「リスク」があるということです。厳密に言うと「価格変動リスク」だったり「金利(変動)リスク」だったり「為替リスク」だったりします。
ところで「リスク」といったときに、前述の「ブレ幅」という意味以外にも金融商品には様々な種類の「リスク」があるのです。例えば債券を発行した会社が利息(クーポン)が払えなくなったり、償還時に元金を返せなくなってしまう「信用リスク」。それが国や地域であると「ソブリン・リスク」と言います。
株式などが急落してしまい売りたくても売れない状況に陥ったりすることを「流動性リスク」と言います。使いたいときに引き出せないような状況にあるとき(例えば解約不能な定期預金など)も「流動性リスク」があると言えます。
金融商品に投資をするということは、こうした「リスク」たちと向き合っていくということになります。
さて、リスクといえばリターン(=収益)です。よくリスクとリターンの関係をグラフで表しています。縦軸にリターン、横軸にリスクをとったもので、右に行くほどリスクは大きくなり、上に行くほどリターンは大きくなります。ローリスク・ローリターン→ハイリスク・ハイリターンのグラフになっているものですが、見かけたことはないでしょうか?
ブレ幅が限りなく小さくて、信用性も高くて、いつでも流動性が確保されていて(つまりリスクがなくて)、大きなリターンを約束してくれる商品、なんてあれば素晴らしいのですが、残念ながらそんないウマイ話はありません! これさえ知っていれば、巷に横行する金融詐欺に引っかかることはないでしょう。
当然のことですが、大きな(ハイ)リスク=大きな(ハイ)リターンではないということです。大きなリスクをとったのにほんの小さなリターンに終わることもありますし、大きなロス(損失)に終わることもあるのです。
ただしリターンを得たいと思えば、どうしてもリスクと付き合っていく必要があるということです。リスクに振り回されるのは困りますよね。上手にコントロール、リスク・ヘッジをしたいものです。
リスク・ヘッジというのはこの「ブレ幅」をいかに小さくするか、ということで、ブレを小さくすることで投資効率が上がり、投資収益の確実性が上がります。リスク・ヘッジの方法としては、プロもかならず行っている「分散投資」が基本となります。
分散投資には実はいくつも種類がありますが、長くなりますので続きは次週に。リスクと上手に付き合う投資をしていきたいですね。