7月14日の金融政策決定会合において、ついにゼロ金利政策の解除が決定されましたね。(先週海の日のお休みだったので、1週遅れの話題ですみません・・・)

ようやく日本にも「金利のある世界」が戻ってくることになります。読者の皆様の中でも現在20代〜30代前半という方は「金利のある世界」を体験した記憶がないという方も多いのではないでしょうか。

さて(事実上)金利がない世界にすっかり慣れてしまった私たちですが、金利が戻ってくることがはっきりとした今、「頭の切り替え」と「心の準備」が必要となっています。

金利が上がることで期待できることは、まずは預貯金の利息が増えることです。これまでの超低金利だと100万円を1年定期(金利0.1%の場合)に預けても、満期時の受け取り利息は税引き後でわずか800円!とても「増えた」と思える金額ではありませんでした。このために、日本から金利がなくなっていく過程において、年金生活者などの高齢者の方々は老後の生活設計が狂ってしまい、大変な苦労をされたことと思います。
もし前述の定期預金の金利が1%あれば満期時には8,000円の利息が受け取れますので、大きな違いですよね。

ゼロ金利解除前まで普通預金の利率は0.001%でしたが、早速先週は大手都市銀行で利上げされ0.1%になりました。(ちなみに今週も0.1%です。)100倍に跳ね上がっているのですが、100万円を入れておいて1年後の利息は8円から800円になったというレベルですから、生活を潤す水準とはまだまだ言えません。
一週間で普通預金金利が100倍にもなったのだから、定期預金金利も10%近くになるのでしょうか?残念ながらそれほど簡単にはいきません。
例えば1年定期(スーパー定期300万円未満 参考:Yahoo!ファイナンス 金利情報 7月10日及び18日)ですが、先々週まで全国平均で0.091%だったのが、ゼロ金利解除後に0.141%になっています。5年定期ですと0.297%だったのが0.327%へ。それぞれ少しずつ上昇はしていますが、普通預金金利のような100倍というわけにはいきません。
0.001%という絶対金利水準が限りなくゼロに近かったがために「100倍」という倍率になっただけということです。

金利が急激に上がるということは経済にとってマイナス面も大きいことから、日銀としても徐々に様子を見ながら調整していこうという姿勢ですから、それほど簡単に預金金利が跳ね上がることを期待するのは難しいでしょう。

ところで最近、さまざまな金融機関で「金利1.5% 5年物」といったようなキャンペーンを見かけませんか?ゼロ金利解除後の5年スーパー定期全国平均金利0.327%と比べても4倍以上の金利です!ゼロ金利解除後、金利が上昇したといっても5年間預けて0.327%では今ひとつ魅力は感じません。でも1.5%あれば・・・と金利のない世界にずっといる私たちには魅力的に写ります。でも本当に魅力はありますか?
こうした商品は「5年」という長期間とよく見るとキャンペーンの文字の下に小さな文字で書かれている「詳細・注意」がポイントなのです。

金利が少しずつでも上昇していく局面で、5年後において果たして1.5%という金利が魅力的なのか、ということがまず一点。世の中の金利がそのとき3%になっていれば全く魅力がないどころか、せっかく3%で運用できるのに機会喪失したことになります。こうした商品は中途解約を認めていないものが大半です。 そして、もう一点は5年後に金融機関側の都合で満期を先延ばしされてしまう可能性があるということです。これが小さな字で書かれている「詳細」の部分です。もうすぐ満期になる、世の中の金利は上がっているので他に乗り換えよう、と思っていても金融機関の都合でもう5年満期を延ばします、と言われる可能性があり、それを拒否することもできないのです。
同様に金融機関の都合で、途中で止めます、といわれるタイプの商品もあります。段階的に金利が上がっていくように設計された商品で、金利が上がっていくことを期待していたのに絵に描いた餅で終わってしまうような商品。
一見魅力的に見える金融商品の場合は、特に注意して小さな文字で表記されている「詳細な情報」も読むように心がけるようにしましょう。将来の金利の動きによっては大きなリスクを抱えてしまうこともあります。金利が上昇していく局面で期待ができる金融商品は何か、金利が高い時点(例えば今のアメリカです!)において魅力的な商品は何であるか、常に金利の動きを意識しながら金融商品を選んでいかないと思わぬ損をすることになります。

これまで事実上金利がなかったものですから、そうした見方をする必要はなかったかもしれませんが、これからはその点で「頭を切り替える」必要があり、そのために投資について学ぶという「心の準備」が必要だということです。
金利が上がることによるマイナス面については次週に取り上げます。