東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅続落となりました。日経平均は347円安の29,444円で寄り付くと直後に319円安の29,472円までわずかに持ち直しましたが、上値は重く下げ幅を広げると10時30分過ぎに684円安の29,107円まで下落しました。やや戻し543円安の29,248円で前場を終えた日経平均は531円安で後場をスタートさせると13時過ぎに630円安の29,161円まで下落した後13時30分前に439円安の29,352円まで持ち直しました。しかし、その後下げ幅を広げ引け間際に641円安の29,150円まで下落すると結局617円安の29,174円で取引を終えています。

こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。

2.個別銘柄等

ルネサスエレクトロニクス(6723)が4.9%安となりました。主力の那珂工場で火災が発生し先端品を扱う直径300ミリメートルの半導体ウエハーに対応した生産ラインが被害を受け生産再開に1ヶ月程度かかるとの認識を示したことで売りがかさみました。ルネサスエレクトロニクスは国内自動車メーカーにとってマイコンの最大調達先であるとみられることから生産体制に影響が出る可能性が懸念され自動車株も安く、トヨタ(7203)が3.3%安となったほか、ホンダ(7267)が3.6%安、日産(7201)も3.7%安となっています。

また、日銀が先週末に上場投資信託(ETF)の買い入れ対象について日経平均連動型を除外すると決めたことで本日も指数寄与度の大きい銘柄に売りが出ました。なかでもファーストリテイリング(9983)が4.5%安となり、日経平均を一銘柄で150円近く押し下げています。

さらに日本オラクル(4716)が8.2%安となりました。第3四半期(2020年12月-2021年2月期)の売上高が前年同期比で減収となり、営業利益も小幅な増益に止まるなど決算が低調だったことが嫌気されました。

AOKIホールディングス(8214)も8.2%安となりました。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が再発令され紳士服やカラオケ店が苦戦していることで通期の営業赤字が20億円から75億円に拡大する見通しとなったことや、期末の配当も見送ると発表したことが嫌気されました。

一方でばら積み船市況の総合的な値動きを示すバルチック海運指数の上昇が続いていることを受けて海運株が高く、日本郵船(9101)が3.3%高、商船三井(9104)が5.3%高、川崎汽船(9107)が4.7%高となり、海運大手3社は揃って昨年来高値を更新しています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は617円安となりました。先週末の米国市場でダウ平均が230ドル以上の下落となったことから売りが優勢となるなか、日銀が金融政策決定会合で上場投資信託(ETF)の買い入れ対象について日経平均連動型を除外すると決めたことも引き続き相場の重石となり大幅安となりました。先週末は大きな下げとなったものの25日移動平均線を小幅に下回ったところで下げ渋りましたが、本日はあっさりと割り込み下げ幅を広げました。先週末と本日の2日間で1,000円以上の下げとなったことから明日以降の反発に期待したいところですが、仮に切り返す展開となった場合には25日移動平均線(29,640円)を回復でできるかがポイントとなりそうです。

なお、今晩の米国ではパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が討議に参加するほか、クオールズFRB副議長の講演も予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)