東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて反発しました。日経平均は234円高の30,148円と30,000円の大台を回復して寄り付くと上げ幅を広げ10時に570円高の30,485円まで上昇し488円高の30,402円で前場を終えました。しかし、昼休み中に金融政策の点検に関わる報道が出て日銀が国内金利の上昇を容認すると受け止められ後場は上げ幅を縮めました。220円高の30,134円でスタートした後場の日経平均は後場寄り後まもなくして127円高の30,041円まで上げ幅を縮めましたが、30,000円の大台を割り込むことなく踏み止まると持ち直し結局302円高の30,216円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

米FOMCで2023年末までゼロ金利政策を続けるとの見通しが示されたことを受けてグロース株に買いが向かうなか半導体関連株の上昇が目立ちました。東京エレクトロン(8035)が2.7%高、SCREENホールディングス(7735)が5.2%高、アドバンテスト(6857)が3.3%高、ディスコ(6146)が2.6%高、レーザーテック(6920)が6.5%高、SUMCO(3436)が3.7%高、ルネサスエレクトロニクス(6723)が4.5%高となっています。

メガバンクも後場に上げ幅を広げ大幅高となりました。日銀が明日までの金融政策決定会合で長期金利の変動幅を小幅に広げる方向と伝わったことで収益改善を期待した買いが入り三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)が5.2%高、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が4.1%高、みずほフィナンシャルグループ(8411)が3.0%高となり、3メガバンクは揃って昨年来高値を更新しています。

三井海洋開発(6269)も7.6%高となりました。日本近海の比較的浅い海底の表層部に眠るメタンが近年確認されたことを受け石油などを海底から効率的に吸い上げる自社技術を応用し水素の原料となるメタンを海底から採掘する技術を開発すると伝わったことが材料視されました。また、投資判断と目標株価の引き上げに大きく反応したのがイビデン(4062)やSCSK(9719)で、イビデンが5.2%高、SCSKが4.5%高となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は302円高となりました。米連邦公開市場委員会(FOMC)で2023年末まで現行のゼロ金利政策を続けるとの見通しが示されたことを好感して昨日の米国市場が上昇し、ダウ平均とS&P500株価指数が史上最高値を更新したことから買いが優勢となりました。上げ幅を広げ30,000円の大台を回復し2月16日に付けた昨年来高値(30,467円)を小幅に上回る場面もありましたが、日銀が明日までの金融政策決定会合で長期金利の変動幅を現状より若干広げプラスマイナス0.25%程度とする方向と伝わると、5日に国会で黒田日銀総裁が変動幅の拡大について「必要とも適当とも思っていない」と述べたことを受けて変動幅の拡大はないとの見方が強まっていただけにサプライズとなり後場に上げ幅を縮めました。また、金融政策の点検では長期金利の変動幅のほかにもマイナス金利の深掘り余地の可能性や上場投資信託(ETF)の購入方法の弾力化、年6兆円というETFの購入額の目安の削減などが議論されるとみられていることから結果公表を受けてのマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)