東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて大幅反落となりました。日経平均は360円安の29,198円で寄り付くと取引開始から10分弱で281円安の29,277円まで戻しましたが、上値は重く下げ幅を広げると前引け間際に573円安の28,986円まで下落し554円安の29,004円で前場を終えました。525円安でスタートした後場の日経平均は一段安となり13時過ぎに848円安の28,711円まで下落した後切り返し持ち直したものの、節目の29,000円をわずかに上回ったところで上値が押さえられると結局628円安の28,930円で取引を終えています。

こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。

2.個別銘柄等

リコー(7752)が15.5%上昇しストップ高となりました。最大1000億円と自己株式を除く発行済み株式総数の約20%にあたる1億4500万株を上限とした大規模な自社株買いを実施すると発表したことで買いを集めました。日立造船(7004)も19.5%上昇しストップ高となり昨年来高値を更新しました。現在主流のリチウムイオン電池に比べ燃えにくくエネルギー効率が高い全固体電池で容量が世界最大級のものを開発したと明らかにしたことが材料視されました。また、投資判断や目標株価の引き上げを受けて海運大手が高く、川崎汽船(9107)が投資判断と目標株価の引き上げを好感して6.0%高となったほか、商船三井(9104)も目標株価の引き上げを受けて3.5%高となりました。日本郵船(9101)も目標株価の引き上げを受けて2.8%高となり昨年来高値を更新しています。

一方で投資判断と目標株価の引き下げを受けてガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)が3.1%安となっています。ソフトバンクグループ(9984)も昨日の米国市場でナスダック総合株価指数が大幅安となったことで5.2%安となったうえ、指数寄与度の大きいファーストリテイリング(9983)も傘下のユニクロとジーユーの全商品を約9%値下げすると発表したこともあって5.5%安となり、この2銘柄で日経平均を325円近く押し下げました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は628円安となりました。米金利上昇を嫌気してハイテク株に売りが出て昨日の米国市場でナスダック総合株価指数が2.7%安となったことで売りが優勢となり、米株価指数先物が時間外取引で大きく下げたこともあって大幅安となりました。節目の29,000円を一時大幅に下回ったことで押し目買いが入り下げ幅を縮めましたが、25日移動平均線(29,292円)を大きく割り込んだことから下値不安が意識されそうで、25日移動平均線を下回った状態が続くと調整入りとの見方も出始めそうです。

なお、4日の米国ではパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米メディア主催の討議に参加する予定で、マーケットが米長期金利の動向に神経質となっていることからそこでの発言が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)