2021年に入ってから、中国株は堅調に推移しています。
1月18日(月)までの株価指数の推移状況を見ると、米国のS&P500が2020年末比で+0.3%、NYダウ平均が+0.7%、ナスダック総合指数が+0.9%と小幅な上昇となり、足元の株価はやや調整している状況です。
それに対し、上海総合指数は+3.5%、香港ハンセン指数は+5.6%と大幅に上昇しています。さらに、これらの株価の推移を見ると高値突破後に一段高となっています。香港市場は中国本土市場に比べて2020年に大幅に出遅れていたこともあり、2021年は中国本土市場にキャッチアップするように追い上げています。
中国本土市場は1兆元を超える大商い
中国本土市場の売買代金を見てみると、上海と深セン両市場を合わせた売買代金はこのところ1兆元の大台を超えてきています。中国本土市場はこの1兆元が大商いの1つの目安です。
なかなかここまで商いが膨らむことはありませんが、2014年終盤から2015年春にかけての中国株バブルの時期は恒常的に1兆元超の大商いが続いていました。当時はその中で信用取引による売買も過去最大級に膨れ上がっていき、投機色を強め、同年夏に崩壊したのでした。
一方、現在の中国株の株価チャートは大きな過熱感もなく良い形で上昇しており、じっくりとベースを踏み固めた上で、安値・高値を順次切り上げながら上昇しています。
中国のGDPは主要国唯一のプラス成長
そして、足元の経済指標も堅調です。12月の輸出は前年比18.1%増と市場予想の15.0%増を上回り、輸入も6.5%増と市場予想の5.7%増を上回っています。また、2020年第4四半期の中国のGDPは市場予想の前年同期比6.2%増を上回る6.5%増となりました(第3四半期は4.9%増)。12月の鉱工業生産も前年比7.3%増と、市場予想の6.9%増や前月実績の7.0%増をこちらも上回っています。
2020年のGDPは主要国の中で唯一のプラス成長となっており、足元も強い基調が続いています。
ハンセンテック指数に注目
2020年は米国株の後塵を拝した中国株ですが、2021年はキャッチアップが期待できそうです。そして、その中でも注目はハンセンテック指数です。
ハンセンテック指数は2020年7月末の公開以降、同指数に連動を目指すETFや投資信託が相次いで組成されています。それらに流入する資金で採用銘柄が買われ、同指数がさらに値上がりするという好循環にあります。
ちなみにハンセンテック指数は2014年12月31日を基準値(3,000ポイント)として算出されています。採用銘柄はハイテク銘柄に限られ、インターネット、eコマース、ソフトウェア、クラウド、フィンテック、半導体、その他デジタル関連企業となります。
採用においては一定の時価総額規模を持ち、売上成長率や研究開発費の比率などが考慮されます。デジタル技術に根差し、それを支えるべく継続的に研究開発に資金を投入し、利益が出るところまで行かなくても、売上が急成長していれば良いことになります。
香港版ナスダック総合指数との印象がありますが、ナスダックは同取引所に上場する数千もの全銘柄の株価を時価総額で加重平均したものであるのに対し、ハンセンテック指数は30銘柄のみの少数エリート企業で構成され、他の指数と同様、定期的に入れ替えが行われていきます。
少数銘柄構成ですので、個別銘柄の影響を色濃く受けます。当初3,000ポイントでスタートした同指数は9,116ポイント(1月18日時点)にまで上昇しています。同指数が公開されてから、相次いで同指数に連動するETFが数本、各運用会社より出されています。
同指数に連動する限り、運用会社が異なるだけでパフォーマンスはほぼ同じになりますが、出来高が多くてファンド規模の大きいのが「CSOP Hang Seng TECH Index ETF【3033】」と「iShares Hang Seng TECH ETF【3067】)」(※)となります。
現時点では、主要な日本の証券会社で取り扱っているところは殆どありませんが、私個人としては今後の動向に注目したいと思います。
(※)マネックス証券では、「CSOP Hang Seng TECH Index ETF【3033】」、「iShares Hang Seng TECH ETF【3067】」の取扱いはしておりません。