2020年の上海総合指数は上昇、香港ハンセン指数は下落

2020年の中国株ですが、12月28日(月)の終値時点で、上海総合指数は2019年末比11.4%の上昇、香港ハンセン指数は2019年末比6.7%の下落となっています。

通年の株価を俯瞰すると、新型コロナウイルス感染拡大の影響で上海総合指数も一時は大きく下落しました。しかし、中国経済が世界に先駆けてコロナ禍から回復し、経済指標が底打ちしてくると、7月から株価は急回復しました。その後も中国政府の政策への期待などもあって、比較的堅調な足取りとなりました。

一方、香港ハンセン指数も7月に入って株価は大きく上昇したのですが、その後は中国本土市場と比較すると、軟調な株価推移となってしまいました。

米中対立の懸念や世界的に金融株が軟調で、時価総額の大きなHSBC(00005)や中国工商銀行(01398)などの金融株が総じて下落していたことなどが株価の重しとなってしまったのが背景になります。さらに足元では中国政府がITハイテク大手への規制を強めたことから、時価総額の大きなアリババ(09988)やテンセント(00700)が下落していることも重しとなっています。

もっとも、現在のアリババ(09988)やテンセント(00700)の下落は、チャンスと捉える見方もあると思います。ITハイテク大手に対する規制への懸念は米国でも長らくあり、古くはマイクロソフトへの独占に対する取り締まりがありました。

ちなみにトランプ米大統領は2020年夏にテンセント(00700)のチャットアプリ「微信」を米国で禁止する大統領令に署名し、直後に同社株が約1割急落したこともありました。

しかし、今やそのことは大きな材料とはなっていません。結局、規制や取り締まりはITハイテク大手の成長を止めるものではないのです。

例えば、アリババ(09988)傘下の電子決済企業であるアントグループが上場を予定しながらも中国政府の影響によって急遽、上場延期となってしまったケースでも見られたように、「行き過ぎたことをするな」というメッセージに過ぎないと思います。

中国当局にしてもハイテク企業は自国の成長の大きな柱の1つであり、最大の雇用と需要を生みだしており、完全に叩くということはないと思います。

2021年に成長が期待される中国株

このように考えていくと、2021年の中国株には大きなチャンスがあると思います。

例えば、テンセント(00700)の株価は調整してきていますが、同社のコア事業は強く、非常に高い利益率を持っています。そして、その他の新規事業が育ってきており、事業ポートフォリオは一段と強化されてきています。

同社は12億人のチャットアプリ「微信」に続き、動画や音楽など娯楽コンテンツや決済、資産運用でも多くのユーザーを抱えています。それらの基盤から広告や出前、ショッピング、ゲームなど相互に事業機会が広がっており、長期的な成長は続くと思います。

テンセント(00700)より大きく下がっているアリババ(09988)にしても、本業で大きく稼ぎ、そこで得た資金をその他のネット事業に投資して同業他社を圧倒する強みは変わっていません。

さらに言えば、赤字のその他のネット事業への先行投資フェーズが終わりに近づいており、多額の費用を回収する時期が来るのもそう遠くないものと思います。そうなれば、アリババ(09988)の利益や稼ぐ力が一層際立つことになるでしょう。中核部門に再投資する余裕も生まれ、マーケティング効果が出て一層伸びる可能性もあるでしょう。

もちろんアリババ(09988)やテンセント(00700)だけでなく、美団(03690)や小米集団(01810)などにも同様のことが言えると思います。

このような観点から2021年は中国株に大きなチャンスが起こり得ると思いますので、是非とも、投資チャンスがある場合にはご検討いただければと思います。

本稿が2020年最後となります。1年間、お読みいただきありがとうございました。2021年も引き続き中国株の魅力についてお伝えしていければと思いますので、よろしくお願いいたします。良いお年をお迎え下さい!