米ドル/円  日足

週間予想レンジ:102.50~104.50

メインストラテジー:レンジ取引

・米ドル全面安の流れが続く
・受動的な円高圧力の継続
・年末ムードで下値限定か

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週、米ドル/円相場は大幅続落。一時103円関門を割り込み、102.88円の打診をもって11月安値を更新し、3月以来の安値を付けた。103円関門割れの有無が1つの基準であったため、ここから再度下回れば、一段と下値余地が拡大する。3月安値101.19円まで大したサポートゾーンも見つからないことから、引き続き下値リスクが警戒される。

その半面、今週は下値限定の可能性も大きい。まず、先週末の切り返しで103円関門の一旦割れ自体が「ダマシ」である可能性を示唆している。次に、主要クロス円のおける外貨高・円安のトレンドが継続し、米ドル/円の下値余地を制限してくることが推測される。最後に、年末ムードで積極的な下値追いが見られない可能性も大きく、まず安値圏での保ち合いが形成されると思う。

とは言え、103円関門割れ自体の意味合いを軽視できない。繰り返し指摘してきたように、11月第2週の大陽線の値幅にはらまれる形で、先々週まで週足では大きな「インサイド」のサインが形成され、先週の安値更新で同「インサイド」の下放れを示した。このままでは再度3月安値へ接近しても、当然の成り行きと思われ、計算値だけで言えば、101円関門割れも覚悟したい。

従って、同サインの下放れが成立するなら、年末年始ムードで目先が動かなくても、2021年の早い段階に下値余地が拡大するであろう。

もっとも、米ドル全面安の流れのなか、主要外貨のうち、円の「出遅れ」が鮮明となっており、主要クロス円の堅調さとは対照的に、明暗分けがはっきりしている。このような流れが崩れる場合は、一時的にせよ、円の「取り戻し」、すなわち、急伸も警戒される。

しかし、米ドル全面安の流れが安易に修正できないなか、目先ではこのような懸念が全く杞憂まで言い切れないものの、現実味が少ない。そのため、引き続き円の「出遅れ」の状況が維持されるであろう。

要するに、あくまで米ドル全面安の一環と理解すべきで、所謂「リスクオンの円高」ではないこと、そして円の受動的な上昇があってもモメンタムが限定的であることを確認できる。従って、先週の安値更新や下放れがあったものの、「ダマシ」となる可能性が残される。

繰り返し指摘してきたように、一番重要な視点はドルインデックスとの連動というか、米ドル全面安の流れにあることだ。ドルインデックスは年初来安値を更新しているなか、米ドル/円の保ち合いがあっても弱含みで、103円関門の一旦割れ自体がサプライズではない。

その半面、主要外貨のうち、実は円が一番弱く、主要クロス円における「外貨高・円安」の流れが継続されていることに鑑み、また3月安値との距離をなお保っているため、しばらく本格的な円高のトレンドは来ないと見る。

年末年始の商い薄で値幅が拡大し、それで3月安値の割り込みとなる可能性も全く想定できないとは言い切れない。しかし、米国株の史上最高値更新が続く中、投機筋の仕掛け的な動き、すなわち「リスクオンの円高」をもたらす可能性も大きくないであろう。もちろん、104円台半ば前後の抵抗も強いため、安易な上放れもないであろう。今週安値圏での保ち合いが先行される公算である。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:78.00~80.00

メインストラテジー:押し目買い

・続伸のモメンタムを維持
・豪ドル次第で上値トライ
・年末年始でも高値圏の推移

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週続伸。値幅がやや縮小したものの、規定路線に乗っており、メインシナリオの変更はない。以前にも強調したように、先々週の高値更新が重要だった。先々週78.81円の打診をもって年初来高値を更新したため、新たな段階入りを示した。それが上値余地の大幅拡大につながったわけで、先週の続伸はごく自然な成り行きだった。

週足では11月から連続陽線を達成し、米ドル全面安が本流と認定できる中、受け皿として豪ドル対米ドルは買われている。上値余地の大幅拓きで豪ドル/円の高値更新が規制路線であり、また単に通過点に過ぎなかったため、今週も続伸しやすい環境にある。

日足でもっとも大きなサインは11月9日の急伸であり、メイン抵抗ラインのブレイクをもって内部構造を鮮明に示唆し、従来のブルトレンドへの復帰を果たした。そのため、先々週の高値更新、そして先週の一旦78円台後半のトライはむしろ想定より遅かったと言える。明らかに、米ドル/円の軟調さや下値トライで上昇モメンタムが限定された。その反面、豪ドル/円の続伸があっても、全く過熱感を感じさせないほど健在化されている。

言ってみれば、8月31日高値78.47円を起点とした反落波や、10月末安値73.13円までの反落自体が典型的なジグザグ構造を示し、同反落を証左するには10月高値のブレイクが1つの物差しであった。

ゆえに、その後の続伸や高値トライがあって、ジグザグ調整子波の終焉を示唆した。またブル基調への復帰を示したと見なされ、年初来高値自体も単に通過点にすぎないため、本来、先週の続伸で上昇モメンタムがさらに加速されてもおかしくない。しかし、米ドル/円の軟調さや、年末年始ムードの制限で、緩やかなスピードが引き続き想定される。

既述のように、米ドル/円の下値打診があっても、76~77円関門前後のメイン支持ゾーンを割らない限り、ブル基調の継続が有力視され、またブル基調を保つであろう。実際、先週の続伸で同支持ゾーンは77~78円関門前後に上方修正され、途中のスピード調整があっても限定的だろうと推測される。

8月末高値~10月末安値まで2ヶ月間かかった調整子波は、11月9日大陽線をもってその終焉が証左され、年初来高値の更新で新たな段階に入った。3月安値を起点とした大きな上昇波の一段延長を確実視する。先週の続伸もあり、心理大台の80円心理大台の打診も確実視される。

年末年始で動かない可能性もあるが、「リスクオンの円高」の見方の間違いが証明された以上、豪ドル高の流れが維持され、80円心理大台のトライが引き続き想定されやすいと思う。