今、なぜ米国株が上昇しているのか
大統領選挙が始まりました今週は、4日間で既にS&P500は7.4%、ナスダック総合は9%上昇しています。既に今週1週間で、10月の1ヶ月分の下げを取り戻してお釣りがきます。多くの投資家にとっては想定外の展開だったのではないしょうか。
では、なぜ米国株が上がっているかという理由ですが、選挙が始まるまでは、2020の大統領選挙は一体どうなるのか良くわからないという不安がマーケットにはありました。その点を懸念して10月のマーケットは弱かったのだと思います。今後の方向性が見たかったということだと思います。
それが、実際に大統領選の開票が始まりまして、「選挙」というトンネルの先が見え始めたことをマーケットは好感しています。株式市場は将来のイベントを織り込むというふうに言われておりますけれども、今週のマーケットは今後起こりうるであろう状況を想定し、前向きに動いているという感じかと思います。
トランプ氏は「郵便投票は不正であり、自分が当選しているはずだ」と言っていますが、株式市場の方はといいますと、極めて冷静でして、こちらは、大統領はバイデン氏、上院は共和党、下院は民主党というねじれの政局を前提として動いています。
このねじれの状況というのが、今回の重要なポイントだと思います。事前に想定されていました大統領、上院、下院のこの3つ全てが民主党になるという、いわゆる「ブルーウエーブ」とならなかった訳です。
法人税引き上げの場合の企業業績への影響は?
株式市場では、バイデン氏が当選した場合法人税を引き上げS&P500の企業業績にネガティブな影響を与えると見られていました。ただ、マーケットは、コロナ下では経済を立て直すのが最優先であり、増税を行うのはまだまだ先の事だろう判断し、バイデン氏がトランプ氏をリードする局面でも株は上がってきました。
それが、今回のねじれの状況となりますと、今度はそもそも増税案をそのまま通すのは、そう簡単でないだろうと、そういった判断をマーケットは行っているのだと思います。
今週のマーケットを牽引したのは、GAFA系のグローバル企業です。
この4日間で、アップル、アマゾン、アルファベット、フェイスブックなどの銘柄は全て9%以上上昇しています。合計600兆円程度の時価総額の銘柄が4日間で9%以上上げた訳ですから、かなり真剣な資金が入ってきているのではないでしょうか。
GAFA系の銘柄については、今後規制が厳しくなるのではないかと言う見方が支配的でしたが、これも今回のねじれ政局の環境では、規制強化を行うのは難しいだろうという判断です。これが、市場に安堵感を与えているのでしょう。元々、コロナにそれほど左右されず二桁の収益成長を可能としているGAFA銘柄ですが、今回の選挙で、規制に対する懸念が薄れたことが好感されています。
GAFA企業は国内のアメリカ企業とも戦っていますが、グローバルの土俵では中国の大企業と戦っています。TikTokですらあれだけ揉めた訳です。
なんだかんだ言ってGAFA企業の国際競争力を弱めるようなことは、アメリカとしてはできないはずです。やらない、というかやれない。GAFA銘柄が上がった裏にはそういった判断がマーケットにあるのではないかと思っています。