中国連休明け上海総合指数は大幅続伸
10月の上海総合指数は大きく反発しました。中国本土市場は国慶節の連休によって10月1日(木)から10月8日(木)が休場となり、取引は10月9日(金)からとなりました。
そして、連休明けから上海総合指数は上昇しました。国慶節の連休中の外食や小売りの売上高が前年比ベースでプラスの推移となったことや、連休明け10月9日(金)の午前中に発表となった9月のCaixin中国サービス業PMIが54.8と市場予想の54.3や前月実績の54.0を上回ったことなどが好感されて上昇した形です。
中国商務部によると国慶節の連休中の小売り・外食企業の売上は前年同期比で4.9%増の1兆6000億元に達したとのことです。ただ、連休中の国内観光収入は30%減の4665億元と落ち込んだとのことで、観光関連銘柄は売られました。
そして、さらに週明けの10月12日(月)に上海総合指数は+2.6%という大幅続伸となっています。米国株が堅調であったことに加え、中国政府が深センの「中国の特色ある社会主義の先行モデル地区」での5ヶ年計画を発表したことから政策期待が高まりました。ちなみに、10月26~29日に第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)が開かれることも政策期待に繋がっています。
強い経済指標は中国株の支援材料に
さらに人民元高も海外からの資金流入を生むとの期待に繋がり、外国人投資家のA株買越額は2営業日連続で100億元を超えました。その後の株価はやや調整となったのですが、経済指標を見ると、今後の中国経済は回復していく可能性が高いことが予想されます。
まず、10月13日に発表された貿易統計では、9月の輸出が前年同月比9.9%増と市場予想の10.0%増よりは若干伸び率が低かったものの、8月実績の9.5%増よりは高い伸びとなりました。また、9月の輸入は同13.2%増と市場予想の0.4%増や8月実績の2.1%減よりも大幅な伸びとなりました。
また、10月14日に発表された9月のマネーサプライ(M2)は10.9%増と市場予想と8月実績の10.4%増を上回りました。そして、新規人民元建て融資額も1兆9000億元と、市場予想の1兆7000億元や8月実績の1兆2775億元を大きく上回っています。これらの強い経済指標は中国株の支援材料となります。
香港ハンセン指数も反発
10月前半の香港ハンセン指数も反発となっています。ただ、チャートを見ると、50日移動平均線、200日移動平均線は共に下向きとなっており、この2つの移動平均線が株価の抵抗線になってしまっていますので、上海総合指数よりは重い株価推移が続いています。
香港ハンセン指数が反発したのはこれまで株価が下がり続け、指数の重しとなっていた中国工商銀行(01398)や中国建設銀行(00939)といった中国本土金融株が中国の経済指標の発表を受けて大きく反発してきていることによります。
中国工商銀行(01398)の株価推移を見ると、株価は50日移動平均線を上に突き抜けています。もっとも、50日、100日、200日移動平均線はともに下向きのままで、株価が上昇トレンドに転じるためには更に良い材料が出る必要があります。
中国ITハイテク大手株も堅調に推移
一方、テンセント(00700)やアリババ(09988)、小米集団(01810)などのITハイテク大手の株価も堅調に推移しています。これらの銘柄は50日、100日、200日移動平均線が共に上向きになっており、株価がその上を推移しているという、いわゆるパーフェクトオーダーの状態で、香港ハンセン指数の値動きとは異なり、強い上昇トレンドが続いています。
10月15日(木)には、米国の国務省がアリババ傘下のアント・グループを禁輸リストである「エンティティー・リスト」に追加する案をトランプ米政権に提出したとの報道から、アリババ(09988)が-4.3%、テンセント(00700)が-3.8%、小米集団(01810)が-3.4%と大きく売られましたが、10月16日(金)にはすぐに切り返し上昇トレンドを維持しています。
以上、ようやく反発の芽が出てきた香港市場です。米国の大統領選挙を無事に通過し、米国株の上昇基調が鮮明となれば、香港株も一段高が期待出来るのではないかと思われるところです。