上海総合指数は横ばいが続くも、株価はやや強気の推移
8月後半の上海総合指数は、前半同様、横ばい基調での株価推移が続いています。ただ、株価は上値を試しに行きたがっている様子も見られます。
8月17日(月)と18日(火)は連日大きく上昇し、株価は2年7ヶ月ぶりの高値になりました。8月17日(月)は中国人民銀行が中期貸出制度(MLF)を通じて7000億元(約10兆7500億円)を銀行システムに供給すると発表したことから上昇し、8月18日(火)は国務院が金融緩和の方針を打ち出したのが買いの材料となりました。
南シナ海を舞台に米中の緊張がかつてなく高まっていることなど、米中対立は引き続き株価の重しとなっています。しかし、中国政府の政策期待から株価は横ばいながらもやや強気の推移となっている点は、中国政府の政策が株価動向のキーポイントとなる中国本土株にとって、悪い流れではないと思います。
中国の好調な回復を示す経済指標
経済指標も悪くありません。8月27日(木)に発表された7月の中国工業企業の利益は19.6%増と、6月実績の11.5%増を大きく上回る数字となっています。特に自動車セクターと電子製品の回復が牽引役となっています。
ちなみに中国汽車工業協会(CAAM)によると2020年7月の新車販売台数は前年同月比で16.4%増の211万2000台と大きく伸びており、コロナ後の経済回復が示されています(ただし、1-7月累計の新車販売台数は12.7%減の1236万5000台となっています)。
不動産の販売も好調な様子で、大手の7月の販売額を見てみると、恒大集団(03333)が24.4%増の503億元、万科企業(02202)が22.5%増の590億2000万元、華潤置地(01109)が89.5%増の239億7000万元となるなど、こちらもかなりの回復具合が示されています。
新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、この後、中国政府の金融政策と財政政策が出てくれば、中国経済が回復する見通しは高くなると言え、これが上海総合指数を押し上げていると言えそうです。
8月後半の香港ハンセン指数は小幅高に
香港ハンセン指数も8月の後半は8月の前半と同じような動きで、小幅高といった様子です。香港ハンセン指数は上海総合指数よりも弱い株価の動きとなっており、200日移動平均線が株価の抵抗線となっているような形で推移しています。
香港ハンセン指数の方が、米中対立の影響を色濃く受けています。たとえば、8月20日(木)に米国が香港との間で結んでいた犯罪人引き渡し条約を停止すると香港政府に通知したと発表されたことが株価の重しとなり、株価が下落しています。
ただ、悪いニュースばかりではなく、8月24日(月)にはトランプ政権が中国ソーシャルメディア大手テンセントの微信(ウィーチャット)について、米国企業が中国で使い続けることは可能との方針を示した他、中国の銀行保険監督管理委員会が香港の国際金融センターの地位を支持するとの方針を示しています。また、新型コロナウイルスの感染拡大については、新規感染者数が過去数週間と比べて低い水準を維持され、対策として行われていた飲食店の制限などが緩和されたことも株価にはプラス材料でした。
中国プラットフォーム企業は業績好調。香港株も堅調な推移となるか
香港ハンセン指数は重い推移が続いていますが、大手プラットフォーム企業の株価は快調です。これらの企業の決算状況を確認してみますと、アリババ(09988)の4-6月期決算は売上が33.8%増の1537億元、純利益は123.9%増の475億元と大幅増益となっています。
テンセント(00700)の上半期の決算も売上が27.9%増の2229億元、純利益が20.8%増の620億元と、アリババほどの伸びではないですが、堅調な決算でした。
美団点評(03690)の4-6月期の決算は売上が8.9%増の247億元、純利益が151.8%増の22億元となっています。こちらはまだ黒字転換したばかりなので利益の伸び率を一概には評価出来ませんが、高い成長率を維持していたことは確かです。
米国株ではナスダックが強い基調を維持していますが、香港株でもこれら中国を代表するプラットフォーム企業の株価が業績好調を背景に堅調に推移するのではないかと予想します。