アップルの株式分割が株価指数に与える影響

史上最高値を更新したS&P500指数ですが、8月24日には初めて3,400ドル台に乗せて終わりました。

ナスダック総合指数(NASDAQ)は一足早く史上最高値を更新しています。史上最高値を更新していないのはダウ工業株30種平均指数(NYダウ平均)だけとなりました。

ところが、史上最高値を目指したいダウ指数にとっては困ったニュースが発表されました。アップル(AAPL)の株式分割のニュースです。「えっ、株価も株式分割のニュースで、上がっているし何が問題なの?」と思われるかもしれませんが、実はこのアップル株式分割、当面のダウ指数のさらなる上げにとっては良い話ではないのです。どういうことか説明します。

S&P500指数は、時価総額加重平均型指数と呼ばれていまして、時価総額の大きい銘柄の動きが小さい銘柄より同指数の動きにより大きく影響を与えるように設計されています。時価総額加重平均型指数の場合、株式分割で1株あたりの株価が変わっても、時価総額が大きく変わらなければ、指数に与える影響はあまりありません

一方、ダウ指数の場合は、30銘柄の株価を全て足し合わせて除数で割るという方法の株価平均型と呼ばれています。時価総額でなく、株価の高い銘柄の値動きが最も同株価指数の動きに反映されるように設計されています。つまり、現在の500ドルのアップルと、4対1の株式分割後のアップルでは、時価総額は変わらなくとも、ダウ指数に与える影響力が弱くなり史上最高値更新から遠ざかって行くのです。

ナスダック総合指数やS&P500指数が史上最高値を達成したのはITセクターの貢献によるところが大きい訳ですが、今回のアップルの株式分割により、ダウ指数の計算方式におけるITセクターの比率は27.6% から20.3%へと大幅に減ってしまいます。正確に言うと、減ってしまうところだったのです。

NYダウ平均構成銘柄入れ替えにより、ITセクターのウエイトは23.1%へ

8月24日NY市場が引けた後、S&Pダウジョーンズ・インデックス社はダウ指数の入れ替えを発表したのです。

指数からの退場となったのは、エクソン・モービル(XOM)、ファイザー(PFE)、レイセオン・テクノロジー(RTN)の3銘柄で、代わりに入場することになったのは、セールスフォース・ドット・コム(CRM)、アムジェン(AMGN)、ハネウエル(HON)です。

原油価格の急落を受けてダウ指数の足を引っ張ったエクソンを外したり、アップルの影響力が下がることを受け、IT銘柄とバイオ銘柄を追加したのです。

エクソンはなんと約100年間にわたるダウ採用銘柄でした。

セールスフォース・コムを指数に組み入れることにより、ITセクターのウエイトは20.3%へ減るところが23.1%の減少へと抑えられました。

 
実際に指数が変更されるのは来週月曜日(8月31日)の寄り付き前に実行される予定です。

出遅れ指数のダウ平均のETF(DIA)に投資をするのも面白いかもしれません。

ますます元気になるダウ工業株30種平均指数、この3銘柄による史上最高値への貢献を期待したいと思います。