12月失業率が4.3%以上なら1月FOMCで利下げか?
米失業率とFFレートの間には、失業率が上昇するとFFレートが低下するという逆方向の相関関係がある。特に、失業率から過去10年の平均値、10年MA(移動平均線)を引いた「修正失業率」を使うと、2008年の「リーマン・ショック」からしばらく続いたゼロ金利時代という特殊な期間は例外として、かなり高い相関関係が確認される(図表1参照)。
この「修正失業率」を使うと、2024年9月からの3回連続のFOMCも比較的うまく説明できる。FOMCは、9月に0.5%の大幅利下げ、そして11、12月と0.25%の小幅利下げを行ったが、大幅利下げは「修正失業率」の急激な上昇を受けたものであり、その後の小幅利下げは「修正失業率」の小幅の上昇を受けた結果と考えられる。では、1月10日発表の2024年12月の米失業率の結果は、「修正失業率」を通じてFFレートの先行き見通しに対してどんな示唆になるだろうか。
失業率の事前予想は4.2%、予想通りなら利下げ見送りか?
事前予想では、12月失業率は前回から横這いの4.2%となっている。予想通りの結果だった場合、「修正失業率」は前回から横這いという計算になるため、FFレートも据え置き、つまり利下げ見送りの示唆になりそうだ(図表2参照)。ただし、失業率が予想外に上昇した場合は、FFレートへの「修正失業率」の示唆は変わりそうだ。
具体的には、12月失業率が4.3%だった場合、「修正失業率」は前回より0.1ポイント上昇、さらに同失業率が4.4%だった場合は、「修正失業率」は前回より0.2ポイント上昇する計算になる(図表3、4参照)。これまでの「修正失業率」との関係から、この場合FFレートの0.25%以上の引き下げ示唆になりそうだ。
失業率悪化でも利下げを見送る場合は、株価の反応に注目
トランプ次期米大統領の経済政策は財政赤字を拡大させ、金利を上昇させるリスクがある。そのため、FOMCはこれまでより利下げに慎重になっているとの見方が強く、実際に前回、2024年12月の利下げは「際どい決定」だったという。そうであれば、今後は失業率が示唆しても利下げを見送る可能性はあるのかもしれない。
これまでなら利下げを行ったような失業率の悪化で、今回利下げを見送るとなった場合、今度はそれに対して株価がどう反応するかが注目されるのではないか。