米ドル/円 日足
週間予想レンジ:106.00~108.00
メインストラテジー:押し目買い
・107円大台打診をもって底打ちを示唆
・「夏の円高」ばかりか、円全体なら「夏の円安」
・3月高値を起点としたジグザグ型調整波終焉
アナリシス:
先週大幅続伸、先々週高値以上の大引けや一時107円関門のトライをもって7月安値104.18円を起点とした切り返しの継続を示唆。106円前半~同後半における元抵抗ゾーンの厚さに鑑み、先週の107円関門の打診自体を強気サインと見なし、地合いの一段改善を確認できた。
7月最終週の足型が示した「スパイクロー」のサインや先々週の「星線」に続いたからこそ、先週の陽線引けは強気継続の結果と見なされ、また途中の一環と見なされる。
日足では、7月31日の「強気リバーサル&アウトサイド」のサインの効き目の継続と解釈されやすく、8月3日罫線が示した「スパイクハイ」のサインや同日高値106.48円のブレイク、またそれ以上の大引けを重視。前記の抵抗ゾーンの突破が一段と証左されたとみる。従って、7月末のサインの有効性がすでに証明された以上、これからも効いていくという見通しは不変である。
米ドル/円の一時下放れ、従来の「夏の円高」や「リスクオフの円高」をもって解釈されたのが不適切であり、ユーロ/円の高値再更新に見られるように、主要外貨のうち、むしろ円の軟調が目立ち、「夏の円高」ばかりか、結果的に「夏の円安」が形成されつつあるかと思う。
根本的なロジックとして、3月におけるV字型反騰で見られたように、所謂「リスクオフの円高」はもはや過去のもの。コロナショックがあったからこそ、「夏の円高」のジンクス(あるいはアノマリー)は今年には当てはまらないことは既述の通り、先週の値動きで証左されたと言える。
ドルインデックスの安値、3月安値より200pipsほど一時下回ったにも関わらず、7月の安値で計算しても、米ドル/円の7月における安値は3月安値より300pipsも上の位置にあったため、米ドル全体の下落一服があれば、米ドル/円がリードして反騰してくることも我々の指摘の通り。先週ドルインデックスの下げ一服だけで同値動きが鮮明になってきたところも証左材料のひとつと見る。
すなわち、米ドル/円の一時104円前半のトライ、本質的には円高ではなく、米ドル安なので、米中対立の激化でリスクオフの円高云々はロジック的に正しくなかった上、リスクオフの円高そのものは過去のロジックになりつつあると言える。
ゆえに、ユーロ/円をはじめ、主要クロス円の強気変動が維持され、先週ユーロ/円の高値再更新が象徴されたように、円高の余地を抑え込まれたところも見逃せない。従って、先週の続伸は自然の成り行きで、市場の内部構造に沿った値動きだと再認識しておき、これからは7月高値108.17円の打診につながるだろう。
既述のように、3月高値を起点として調整波、大型ジグザグ変動パターンと数えられ、6月高値109.86円から「3月高値~5月安値」の値幅で測る(要するにN字型変動)104.10円前後の下値目途が得られ、7月末の安値は同計算値に近く、また7月31日の大幅反騰を果たしたため、N字型変動の完成を示唆していた。
先週の続伸や107円関門の打診で同変動パターン成立の蓋然性が一段と強まり、今後108円関門以上の終値をもってブル基調への転換を図るだろう。但し、達成されるまでなお波乱の可能性もあり、中段保ち合いの延長を引き続き覚悟しておきたい。
豪ドル/円 日足
週間予想レンジ:75.00~78.00
メインストラテジー:レンジ取引
・豪ドル対米ドル次第、頭重くなることを警戒
・米ドル安自体行き過ぎ、豪ドルの調整を覚悟
・米ドル/円に支えられ、ブル基調を保てる公算
アナリシス:
先週小動き、陽線で大引けしたものの、モメンタムが限定され、一連の流れを加速できずにいた。先々週一旦高値を更新したものの、小幅に留まり、また大幅反落して安く大引けしたため、週足では典型的な「スパイクハイ」の陽線を形成。上値重さを示唆していただけに、先週の値動きには「物足りない」感が生じる。
既述のように、6月高値と「ダブル・トップ」を形成する可能性も浮上。6月安値72.50円割れがあれば、3月安値を起点として上昇波の一旦終焉もあり得る。
半面、先々週と同様、先週終値の75.62円に鑑み、頭打ちに関する判断、目先性急であることが分かる。3月安値を起点とした上昇トレンドはなお維持され、高値圏での保ち合いの拡大があっても、メイントレンドを否定するには継続的に72.50円以下の下値打診なしではサインが点灯したとは言えず、また目先なおハードルが高いと言える。
もっとも、3月高値を起点としたドル全体(ドルインデックス)の反落が目先まで大分継続され、また3月安値の割り込みをもって下値余地を拓いているものの、行き過ぎた感も強めてきたことは事実である。
こうなると、豪ドル/米ドルの一旦頭打ちが想定されるが、目先このような兆しが見られたものの、非常に弱い示唆しか得られず、なお様子見の段階。すなわち、米ドル/円の反発に支えられたものの、豪ドル/米ドル次第の側面はなお大きいから、当面上値を更新できるかどうかは確信できない。
既述のように、先々週からモメンタムが欠如しており、「今は何らかのきっかけ待ちの状況である」という判断は不変。74円後半は目先の支持ゾーン、下放れなしではなお強気構造を示唆するが、先週の保ち合いに鑑み、再度トライされてもおかしくなかろう。豪ドル/米ドル次第で、一旦下放れしてレンジの幅を拡大させる、といったシナリオを有力視している。
しかし、仮に再度頭重くなったとしても、スピード調整の⼀環として過大解釈すべきではない。高値圏での保ち合い自体の延長や拡大があっても強気構造を否定できない限り、トップアウトの判断はなお性急であろう。
肝心なところ、コロナショックで 3 月 19 日まで⼤きく続落、⼀時 60 円の心理⼤台を割り込んだこと⾃体が豪ドル安のクライマックスだったこと、また年初来⾼値を⼀旦更新したことに鑑み、切り返し⾃体はもはや調整波ではなく、推進波として数えること。故に、途中のスピード調整があっても、ブル基調を維持できるというメインシナリオは不変である。
コロナショックと相まって、恐怖のドル買いやドル・クランチの進⾏で豪ドルは資源国通貨として売られやすかった側面があったが、76 円台後半までの急伸で売られすぎに対する修正は完全に果たし、2019年年末の⾼値更新やブレイクは証左のサインと⾒なせることは繰り返し指摘してきた。
調整的な値動きがあっても途中のスピード調整といった位置付けは当面維持される。米ドル/円と同様、レンジ取引のスタンスで臨みたい。