早いもので2020年ももう8月です。

7月の米国株式市場については、新型コロナウイルスによる経済関係のニュースのヘッドラインに一喜一憂しながらも月間ベースでみると3指数共に上昇、S&P500は5.5%上昇し3,271ポイントへ、ナスダック総合は6.8%上げ10,745へ、そしてダウ工業株指数は2.4%上昇し26,428ドルで終わっています。ナスダック総合は年初から既に20%上昇していますが、S&P500も7月23日には3,280まで上昇し、ポストコロナの高値を更新、年初からも1.25%とプラスに転じ7月を終えました。

米国株(アメリカ株)が強かったその理由

米国株が強かった理由の一つは、現在進行中の米国企業の第2四半期決算発表です。現時点ではS&P500のうち、311社と約6割の企業が決算発表を終えています。6月27日時点の事前予想では今期の決算は44%の減益予想だったものが、ふたを開けてみると、85%の企業が事前予想を上回る決算発表を行っており、先週末(7月31日)には35%の減益予想へと上方修正されています。

私は時々個人のツイッターで、その時旬な話題のアンケートを行うことがあります。このような試みは、自分以外の市場参加者の市場に対する見方が分かりとても参考になり重宝しています。今までの回答を見ると、答えてくれるのは基本長期的に米国株に強気の方々が多いのですが、7月12日に行った第2四半期の見通しについてのアンケートでは、42%の回答者が予想を下回るだろうと回答、予想を上回るという35%、予想通りの23%という回答を上回っており、今回の決算発表については慎重な見方が伺えました。

直近の米国の個人投資家協会の強気指数を見ても20%と今年最低のレベルを更新しており、投資家のセンチメントで見ると、強気の投資家が少ない、過熱感のない環境下で株が上がっている理想な形になっています。

【図表】第2四半期のS&P500の収益予想の推移 
出所:マネックス証券作成

アップルの時価総額は再度世界最大に

先週、市場の上昇に勢いを付けたのは今回の第2四半期の決算発表のハイライトであるGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)のうちAFA(Apple, Facebook, Amazon)の決算発表でした。

アップル(AAPL)の売上事前予想は前年比3%の落ち込むとみられていましたが、11%の売り上げ増と596.9億ドルと4~6月期では最高を発表したことを受け、金曜日(7月31日)にはアップルの株価は10.5%上昇しました。純利益は12%増の112.5億ドル。同社の売上の44%を占めるiPhoneの売上については、15%減の事前予想に対し2%増となり、iPhoneに対する消費者の支持を証明してくれました。また、iPadやMacの売り上げも、それぞれ31%と22%増と、コロナ下の「ステイ・ホーム」の恩恵を受けていることが確認されました。

今後については、来年再来年の5Gネットワークの整備の拡充が進み、5G対応のiPhoneの売上増が期待されます。

先週の金曜日(7月31日)の株価の上昇をうけ、アップルの時価総額は192兆円となり、2019年12月にIPOで上場後世界時価総額1位となったサウジアラビアのアラムコの185兆円の時価総額を抜き、アラムコ上場前の時価総額世界1位の座を再獲得しました。また、同社は4対1の株式分割も発表(落ち日は8月31日予定)しています。株式分割を発表するのは2014年来のことです。分割後の株価は、先週金曜日の株価を参考にすると約11,247円となり、米国株は1株から買えますのでアップル株に投資をしようとする個人投資家にとっては買いやすくなります。

アマゾン:オンラインショッピング比率の増加やクラウドサービスの売り上げ増により時価総額世界4位に

また、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大からくる「ステイ・ホーム」の恩恵を受けたアマゾン(AMZN)も売上が事前予想を9.4%上回り、前年同期比で40%増の約9.3兆円(889.1億ドル)の売上高、純利益は約5500億円(52.43億ドル)を発表しています。今回の決算では、米国の小売りにおけるオンラインショッピングの比率の増加という長期的なトレンドが加速しているという事実が、前回の決算発表同様再度確認された内容となりました。また、「ステイ・ホーム」が余儀なくされるなか、オンライン・ゲーミングやビデオ通信の増加により同社にクラウドサービスであるAWS部門の売り上げは、前年比29%増という結果となっています。
株価の方は決算を受け先週金曜日1日で3.7%上昇し、マイクロソフトに次いで時価総額で世界4位(168兆円)の地位を維持しました。

フェイスブック:売上11%増と堅調な決算を発表

フェイスブック(FB)も売上は11%増の186.9億ドルと堅調な決算発表を行いました。
同社の月間利用者数は6月時点で27億100万人となり前年比で12%増えています。
同社の株価は金曜日1日(7月31日)で8%上昇しました。

米国ではコロナ禍において住宅建設会社が10.5%の売り上げ増、その理由とは

今回のコロナウイルス感染者数が拡大する中、私が興味深いと思ったのが7月末に株価が史上最高値を更新した住宅建設会社のDRホートン(DHI)の決算発表です。日本の住宅建設会社の株価の動きと対照的です。同社はコロナ禍において前年同期比で売上10.5%増を達成したのです。
しかも、同社のマネジメントによると、住宅注文は今までの最高レベルであり、来期は2~7.7%の増加が見込めると発表しているのです。私もとても不思議に思ったのですが、これはミレニアル世代が新型コロナウイルス感染症の拡大のせいで都心から郊外へ引っ越そうとする動きが理由だという事です。