◆NBAのダラス・マーヴェリックスのオーナーでもある資産家で著名投資家のマーク・キューバン氏が先日出演したCNBCの番組でこんな話をした。「18歳の姪っこがいるんだが、何の株に投資したらいいかって尋ねてきたんだ。なんでも彼女の友達が1日で30%も稼いでいるからって言うんだ。姪っこだけじゃない。今まで株なんて一度だって見向きもしなかった連中が次々に訊いてくる。どんな株に投資すべきかってね」。

◆「新潮流」の前身である「投資の潮流」でこんなことを書いたことがある。<バブルの予兆を知る、もうひとつの方法は、株式投資と最も縁遠いと思われる人たちの言動を観察することである。大恐慌の時代のウォール街なら靴磨きの少年、現代の日本なら、さしずめ女子大生や若いOLだろう。普段はおしゃれやグルメにしか興味がない彼女たちがマネー誌を読み始めたら「危ない」と思ったほうがいい。>(2013年1月22日「バブルの見分け方」)  

◆テスラの時価総額がトヨタ、ホンダ、日産の時価総額を合わせた額を抜いた。ESGだけでは説明がつかない買われ方だ。背景には50万人近くの「ロビンフッダー」(無料投資アプリ「ロビンフッド」を通じて売買する個人投資家)からの資金流入がある。テスラだけではない。ハイテク株の多くに彼らからのマネーが流れ込んでいる。

◆世界で個人投資家が急増している。在宅勤務や外出自粛で、自宅で過ごす時間が増えた。それが個人投資家が増加した背景にあるようだ。喜ばしいニュースだが、値動きの良さだけを頼りに売買する向きも少なからずいるだろう。今のハイテク株は警戒すべき水準まで買い上げられている気がする。

◆さてキューバン氏は姪御さんにどのようなアドバイスを送ったのか気になるところだ。彼は「株式市場で儲ける唯一の方法はCashing Out (利食い・現金化)することだ。貪欲になるな」と伝えたそうだ。キューバン氏はドット・コム・バブルのピークで自身が設立した会社Broadcast.comをYahoo!に売却、巨額の現金を手にした。そこから彼の成功物語が始まったのである。キューバン氏は今の相場はドット・コム・バブルによく似ているという。ここから先は「利食い千人力」という金言を頭の片隅に置きながら臨む相場だろう。