【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 25,734.97  ▼77.91 (7/1)
NASDAQ: 10,154.63  △95.86 (7/1)

1.概況

米国市場は新型コロナウイルスの感染拡大が続きニューヨーク市がレストランでの店内飲食の再開の延期を決めたことなどが相場の重石となる一方で、経済指標の改善や新型コロナウイルスワクチン開発が順調に進んでいることが相場の支えとなるなか高安まちまちとなりました。ダウ平均は66ドル高でスタートすると取引開始直後に206ドル高まで上昇しましたが、上げ幅を縮めるとその後は前日終値を挟んで揉み合う展開となりました。引けにかけてやや売りが優勢となったダウ平均は結局77ドル安の25,734ドルで取引を終え3日ぶりに反落となっています。

一方でS&P500株価指数が15ポイント高の3,115ポイントと3日続伸となったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も95ポイント高の10,154ポイントと3日続伸となり6月23日に付けた史上最高値(10,131ポイント)を更新しています。

2.経済指標等

6月の米ISM製造業景況感指数は52.6と前月の43.1から上昇し景気拡大と縮小の節目となる50を超え市場予想も上回りました。一方で6月のADP全米雇用リポートで民間部門雇用者数は236万9000人増となりましたが市場予想を下回りました。ただ、5月分が276万人減から306万5000人増に大幅に上方修正されています。また、5月の米建設支出も年率換算で前月比2.1%減となり市場予想を下回りました。さらに6月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨ではイールドカーブ・コントロールの導入に対して参加者が慎重姿勢を維持していることが分かりました。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち8業種が上げ、不動産と公益事業、コミュニケーション・サービスが2%以上上昇したほか、一般消費財・サービスも2%近く上げています。一方でエネルギーと金融、資本財・サービスの3業種が下げ、エネルギーが2%を超える下落となり金融も1%安となりました。

4.個別銘柄動向

ファイザー(PFE)が新型コロナウイルスワクチンの初期の臨床試験で良好な結果が得られたと発表したことで3%以上上げダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなりました。また、代替肉のビヨンド・ミート(BYND)がアリババ集団(BABA)と提携し代替肉バーガーを中国本土の小売店で販売すると伝わったことで6%近く上げています。酒類販売大手のコンステレーション・ブランズ(STZ)も決算が市場予想を上回ったことで6%以上上げています。さらに新型コロナウイルスの影響を相対的に受けにくいとされるハイテク株への買いが続き上場来高値を更新するものが目立ちました。電気自動車のテスラ(TSLA)が連日で上場来高値を付けたほか、アマゾン・ドット・コム(AMZN)と動画配信のネットフリックス(NFLX)も上場来高値を更新しています。

一方で百貨店のメーシーズ(M)が決算で最終損益が赤字となったことで4%を超える下落となりました。

5.為替・金利等

長期金利は0.02%高い0.67%となりました。ドル円は107円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

米国市場でナスダック総合株価指数が史上最高値を更新したことや、昨日に下げた反動もあって本日の日本市場は上昇してのスタートが予想されます。今晩に米雇用統計の発表を控え様子見となりやすいなかで日経平均が5日移動平均線(昨日時点で22,235円)を上回ることができるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)