このレポートのまとめ
1.経済再始動の試みは前途多難
2.ソーシャル・ディスタンシングでサービス業は本調子を出せない
3.FRBの緩和策で金融市場は機能不全には陥ってない
4.重要州で新しい感染が広がっている
経済再始動の試みは前途多難
米国が外出禁止令を解除して以来、停止してしまった米国経済を再始動することが試みられています。
下は新規失業保険申請件数のチャートです。6月18日に発表された6月13日までの新規失業保険申請者数は150.8万件でした。これは予想の130万件より悪い数字でした。
つまり米国経済のV字型の復活はここへきて足踏み状態になっていると考えられます。
もうひとつ別のデータで経済の様子を見ることにしましょう。下はチェース・カードがまとめたクレジットカードならびにデビットカードの利用状況です。
レストラン、ホテル、航空会社などの業界はまだ酷いスランプ状態から抜け出せていません。
ソーシャル・ディスタンシングでサービス業は本調子を出せていない
米国の大部分の州では外出禁止令解除後もソーシャル・ディスタンシング、すなわち隣人と距離を置く政令を出しています。したがってレストランなども通常のキャパシティの半分以下で営業しているところがほとんどです。
米国政府が景気刺激策で国民におカネをばらまいたのでいまのところ庶民はなんとかやりくり出来ています。しかし7月いっぱいで失業保険に上乗せされる週給600ドルという手厚い特別補助が終了になります。この補助の延長措置などを含む追加景気刺激法案が上院で討議されているのですが審議には手間取っています。
FRBの緩和策で金融市場は機能不全には陥ってない
金融市場は経済の停滞にもかかわらず酷い貸し渋りや銀行経営に対する不安などは出ていません。つまり円滑に作動しているわけです。そのひとつの理由は米連邦準備制度理事会(FRB)が大胆な緩和措置を講じ、マネーの供給を増やしているからです。
重要州で新しい感染が広がっている
テキサス、フロリダ、アリゾナ、カリフォルニアという大きな州でいま新規の新型コロナウイルスの感染者が増えています。場合によってはこれらの州で再び外出禁止令を発令しないといけなくなる可能性もあります。
「再度の外出禁止令は回避されるだろう」というのがメイン・シナリオですが、ここしばらくのこれらの州における陽性者数の推移にはじゅうぶん気を付ける必要があると思います。