2月暴落前との比較で考える
先週、メキシコペソ/円は最大で1割近くの急落となった(図表1参照)。このメキシコペソ/円は、2月から3月にかけて3割近くの暴落となったことがあった。では当時と最近の違いとは何か。
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結論的に言うと、2月当時と最近の違いは、中長期的な「上がり過ぎ」懸念の有無だ。2月当時は、中長期的な「上がり過ぎ」懸念も強くなっていたのに対し、足元ではそれほどではない。ただ一方で、短期的な「上がり過ぎ」懸念は、じつは徐々に足元も、2月当時に近付きつつある。
メキシコペソ/円の90日MA(移動平均線)からのかい離率は、経験的に5%以上に拡大すると短期的な「上がり過ぎ」懸念が強くなる。ちなみに、2月から、メキシコペソ/円の暴落が始まる前、同かい離率は5%近くに拡大していた(図表2参照)。
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2月、暴落が始まる前のメキシコペソ/円は5年MAからのかい離率がマイナス5%程度まで縮小していた(図表3参照)。経験的に同かい離率はマイナス30%~0%中心のレンジで推移してきた。その意味では、2月暴落前のメキシコペソ/円は、過去5年の平均値からのかい離率といった中長期の観点でも「上がり過ぎ」懸念が強くなっていたといえるだろう。
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さて足元のメキシコペソ/円が5円を上回ると、90日MAからのかい離率はほぼ5%に達し、短期的な「上がり過ぎ」警戒域となりそうだ。一方で、5年MAからのかい離率はマイナス17%程度。その意味では、中長期的にはほぼニュートラルな状況にあるといえそうだ。
以上を整理すると、2月、暴落が始まる前のメキシコペソ/円は、短期的にも中長期的にも「上がり過ぎ」懸念が強くなっていた。その中で、「コロナ・ショック」が起こると、一気に3割近い暴落へ向かったわけだ。これに対して足元のメキシコペソ/円は、5円を上回ると、短期的には「上がり過ぎ」懸念が強まるものの、中長期的にはまだとくに「上がり過ぎ」が懸念される状況ではなそうだ。