【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 26,989.99  ▼282.31 (6/10)
NASDAQ: 10,020.35  △66.59 (6/10)

1.概況

米国市場は高安まちまちとなりました。ダウ平均とS&P500株価指数は米FOMCでゼロ金利政策が2022年末まで続くとの見方が示されたことで長期金利が低下して金融株が売られたことや、資本財などの景気敏感株にも売りが広がったことで続落となりましたが、ナスダック総合株価指数は長期金利の低下を受けてバリュエーションの高いハイテク株が買われ4日続伸となり初めて10,000ポイントの大台に乗せています。

ダウ平均は20ドル安でスタートすると334ドル安まで売られましたが、徐々に持ち直すとFOMCの結果を受けて一時プラスに転じ82ドル高まで上昇しました。しかし、買いが続かずまもなくして下落に転じ下げ幅を広げると結局282ドル安の26,989ドルと節目の27,000ドルを割り込んで取引を終えています。また、S&P500株価指数も17ポイント安の3,190ポイントとなっています。

一方でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は66ポイント高の10,020ポイントと10,000ポイントの大台に乗せ3日連続で史上最高値を更新しています。

2.経済指標等

米連邦公開市場委員会(FOMC)ではゼロ金利政策を維持することを決めました。また、政策金利見通しでは参加者全員が2021年まで実質ゼロ金利の維持を予想し、15人が2022年まで同水準で据え置くと予想しました。さらに無制限の資産購入については声明から無制限を意味する文言を削除し、代わりに少なくとも現在のペースを維持すると修正しました。5月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%低下し市場予想も下回りました。5月の米財政収支の赤字額は前年同月比92%増の3988億2100万ドルとなっています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち10業種が下げ、エネルギーが5%近く下落したほか、金融も4%近く下げました。資本財・サービスも2%を上回る下落となり、不動産も2%近く下げています。一方で情報技術が2%近く上げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄は30銘柄中23銘柄が下げました。そのなかでもボーイング(BA)が6%余り下落し1銘柄でダウ平均を90ドル余り押し下げたほか、エクソンモービル(XOM)も5%を超える下落となりました。JPモルガン・チェース(JPM)も4%余り下げ、アメリカン・エキスプレス(AXP)とシェブロン(CVX)も4%近く下落しています。一方でマイクロソフト(MSFT)が4%近く上げ上場来高値を更新したほか、アップル(AAPL)も2%を超える上昇となり連日で上場来高値を付けています。

ダウ平均構成銘柄以外では、アマゾン・ドット・コム(AMZN)も2%近く上げこちらも前日に続いて上場来高値を更新しています。画像処理半導体のエヌビディア(NVDA)も3%以上上げ上場来高値を更新したうえ、電気自動車のテスラ(TSLA)も商用トラックの量産開始を期待した買いで9%近く上げ上場来高値を付けています。スターバックス(SBUX)は4-6月期と通期の業績見通しが市場予想を下回ったことで4%余り下げています。

5.為替・金利等

長期金利は米FOMCでゼロ金利政策が2022年末まで続くとの見方が示されたことで0.09%低い0.73%となりました。ドル円は長期金利の低下を受けてドルが売られ円高が進み107円台前半で推移しています。107円台を小幅に割り込む場面もありました。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場でダウ平均が280ドルを超える下げとなり円高も進んでいることから下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が昨日のように朝方の売り一巡後に下げ幅を縮めるような展開となるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)