【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 26,281.82  △11.93 (6/4)
NASDAQ: 9,615.81  ▼67.10 (6/4)

1.概況

米国市場は高安まちまちとなりました。ボーイング(BA)が大幅高となったことなどでダウ平均は小幅に続伸となりましたが、主力ハイテク株の一角に売りが出てS&P500株価指数とナスダック総合株価指数は反落となりました。43ドル安でスタートしたダウ平均はまもなくして切り返すとプラスに転じ114ドル高まで買われましたが、買いが続かず上げ幅を縮めるとしばらくは前日終値を挟んで揉み合う展開となりました。取引終盤に187ドル安まで売られる場面もありましたが引けにかけて持ち直すと結局ダウ平均は11ドル高の26,281ドルで取引を終え4日続伸となっています。

一方でS&P500株価指数が10ポイント安の3,112ポイントと5日ぶりに反落となったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も67ポイント安の9,615ポイントとこちらも5日ぶりの反落となっています。

2.経済指標等

先週一週間の米新規失業保険申請件数は187万7000件と前週の212万6000件から減少したものの市場予想ほど改善しませんでした。また、4月の米貿易収支の赤字額は前月比16.7%増の494億800万ドルとなり赤字額は市場予想を上回りました。1-3月期の米労働生産性指数改定値は年率換算で前期比0.9%低下したものの市場予想を上回っています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち8業種が下げ、公益事業と不動産が2%近く下落しました。一方で3業種が上げ、金融が2%近く上昇したほか、資本財・サービスも1%余り上げています。

4.個別銘柄動向

アメリカン航空グループ(AAL)が7月から国内線の便数を大幅に増やすと発表したことで急伸し41%余り上げました。旅客需要の回復で航空機受注も持ち直すとの見方からボーイングにも買いが波及し6%を超える上昇となりダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなりました。そのほかのダウ平均構成銘柄ではトラベラーズ(TRV)が3%余り上げたほか、ダウ(DOW)に加えて金利上昇を受けてJPモルガン・チェース(JPM)とゴールドマン・サックス(GS)も2%以上上げています。

また、電子商取引のイーベイ(EBAY)が4-6月期の業績見通しを上方修正したことで6%以上上げ上場来高値を更新しました。さらにTDアメリトレード(AMTD)の買収計画について米司法省による独占禁止法の調査が終了したと発表したことでネット証券最大手のチャールズ・シュワブ(SCHW)が5%以上上げています。TDアメリトレードも9%近く上昇しました。

一方で通期の売上高が最大2%減少するとの見通しが嫌気され食品のJMスマッカー(SJM)が5%近く下落しました。ビッグデータ処理のクラウデラ(CLDR)も5-7月期と通期の売上高見通しが市場予想を下回ったことで急落し13%近く下げています。

5.為替・金利等

長期金利は0.08%高い0.82%となりました。欧州中央銀行(ECB)が理事会で3月に新設した資産買い取り枠の拡大を決定したことからドイツで長期債が売られ米国債にも売りが波及しました。ドル円は109円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

米国市場が高安まちまちとなったことで本日の日本市場は様子見でのスタートが予想されます。短期的な過熱感が高まるなかで日経平均が昨日までの堅調さを維持できるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)