先週の米国市場は、S&P500指数・ナスダック総合指数も上昇

S&P500指数は先週(5月25日~5月29日)3%上昇しました。2週連続の上げです。
「Sell in May」 との諺とは裏腹に2020年の5月にS&P500指数は4.5%上昇し、3044.31、年初からは5.8%の下げのレベルまで回復しています。ナスダック総合指数も、先週1週間で1.8%上がり、月間で6.8%、年初からは5.8%上昇し9489.87へと堅調に推移しています。

先週木曜日(5月28日)には、トランプ大統領が、中国による香港への規制強化の対抗策として中国に対して新たな政策を発表するとの報道が流れ、午後に入り株式市場は下落しました。世界中が注目した金曜日のトランプ大統領の発表では懸念されていた対中関税や貿易合意に触れられることがなかったことから、株式市場は下げ幅を縮小し、マーケットはプラスに転じ、先週1週間の米株市場はプラスで終っています。

米国市場の新たなリスク

米国市場では市場にとっての新たなリスクが浮上しました。
先週ミネソタ州でアフリカ系男性が白人警官による拘束時に死亡した事件がきっかけとなり少なくとも全米で75の町でデモが行われ、24以上の市長が夜間外出禁止令を敷きました。一部の都市ではデモが暴力化し、州兵が派遣されるようになっています。
このように多くの町で外出禁止令が出されたのは1968年のマーティン・ルーサー牧師が暗殺されて以来の事のようです。
    
よく見ていると米国内におけるこのような暴力と伴う事件であっても株式市場に与える影響は短期的で限定的であるように思えるのですが、今後この事件がより大きな問題として拡大するか否かを見極める必要はあります。

ニューヨーク証券取引所の立会取引が一部再開

ニューヨーク証券取引所の立合取引は先週火曜日(5月26日)に一部再開されました。世界中の証券取引所は電子化された一方、ニューヨーク証券取引所は未だに取引所のフロアで人が株式の取引を行なっているという世界でも珍しい証券取引所です。
今回コロナウィルス感染を防ぐ為、3月23日から取引所は完全に電子取引に移行し、人の出入りは禁止されていました。火曜日の取引所の再開には、クオモNY州知事が取引所を訪れ、オープニングのベルを鳴らしました。先週は通常の25%に相当する80人のフロア・トレーダーが戻り、徐々にスタッフの数を元に戻していく計画とのことです。

米国のIPOマーケット復活の兆し

米国ではIPOマーケットが復活しつつあり、夏に向けて新規上場で忙しくなりそうです。
近年上場した銘柄で構成されているルネッサンスIPO  ETFは年初から18%上昇しており、主要米株指数のリターンを大きく上回っています

年初には数多くのIPOが予定されていたのですが、コロナに端を発する株式市場の暴落により企業の新規上場は延期となってしまいました。その後株式市場が回復するなか、株価のボラティリティも低下し、新規上場が再開されるようになってきました。

ただ、以前と比べ機関投資家が慎重になっていることもあり、事業がしっかりしていることは当たり前として、バリュエーションに対しても厳しい評価がされていると思います。

6月3日には2020年最大のIPOを予定

米国では、今週水曜日(6月3日)には今年最大のIPOと言われるワーナー・ミュージックが新規上場する予定となっています。ワーナー・ミュージックは、8万人のアーティスト、140万種の音楽を有していまして、ユニバーサル・ミュージック、ソニー・ミュージック・6月3日には2020年最大のIPOを予定エンターテインメントと世界3大音楽会社の一社です。時価総額は125億ドル(約1.35兆円)と今年最大のIPOとなる見込みです。

今後の投資テーマ:宇宙関連事業の魅力

スペースXは、スペースX事業の一部の株式上場を検討か

米国で最も価値のあるプライベート企業はテスラCEOのイーロン・マスクの宇宙開発企業のスペースX(エックス)と言われています。スペースXは先週末、フロリダ州のケネディ宇宙センターで、米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士2人を乗せた宇宙船「クルードラゴン」の打ち上げに成功し、日本でも大きく報道されており皆さんもこのニュースはご覧になっていると思います。

スペースXのIPOに対する期待はあるのですが、スペースXのCOO(最高執行責任者)によると、スペースX自体のIPOは考えていないものの、スペースX事業の一部である宇宙探査テクノロジー・コープ(スターリンク)の株式上場を考えているようです。

スターリンクは、世界中をカバーできる数の人工衛星を打ち上げ、その衛星から地上に向け高速インターネットサービスを提供する計画を持っています。同社は既に240の衛星の打ち上げを終え、軌道に乗っており、今年中に米国北部とカナダでサービスを開始させたい意向のようです。2021年には世界の人口密度の高い地域でサービスを提供する予定のようです。同社のインターネットの利用料金については、「今皆さんが払っているインターネット通信料金よりも安い一方、現在の5から10倍速い速度でサービスを提供できる」としています。

既に上場している注目の宇宙関連企業とは

宇宙関連事業が投資のテーマになり始めていますが、既に上場しているピュアな宇宙関連企業としては2020年1月4日にこのコラムで紹介したヴァージン・ギャラクティック(NYSE:SPCE)が既に上場しており、日本からも投資をすることができます。