【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 25,383.11  ▼17.53 (5/29)
NASDAQ: 9,489.87  △120.88 (5/29)

1.概況

先週末の米国市場は高安まちまちとなりました。ダウ平均は香港への統制強化を決めた中国と米国の対立が深まるとの懸念が重石となり小幅に続落となりましたが、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数は半導体関連株への買いを支えに反発しました。

ダウ平均は76ドル安でスタートすると昼過ぎに368ドル安まで下げ幅を広げましたが、トランプ米大統領が発表した中国への制裁措置が警戒されていたほど厳しくなかったとの見方から持ち直すとプラスに転じ取引終盤には82ドル高まで買われる場面もありました。しかし、買いが続かず引けにかけて再び下落に転じると結局17ドル安の25,383ドルで取引を終えています。一方でS&P500株価指数が14ポイント高の3,044ポイントとなったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も120ポイント高の9,489ポイントとなっています。

2.経済指標等

4月の米個人所得は新型コロナウイルス対策として現金が支給されたことや失業保険の給付などで前月比10.5%増と過去最大の伸びとなりました。一方で個人消費支出(PCE)は前月比13.6%減と過去最大の落ち込みとなりました。また、5月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)も32.3と前月から低下し市場予想を下回りました。5月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値も72.3と速報値から下方修正され市場予想を下回っています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち7業種が上げ、ヘルスケアと情報技術が1%以上上昇しました。一方で金融や不動産などの4業種が下げ、金融は1%を超える下落となりました。

4.個別銘柄動向

トランプ米大統領が発表した中国への制裁措置が警戒されていたほど厳しくなかったとの見方から米中の貿易摩擦への懸念が和らぎ半導体関連株が買われました。エヌビディア(NVDA)が4%以上上げ、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も4%近く上昇したほか、クアルコム(QCOM)とマイクロン・テクノロジー(MU)が3%以上上げています。さらにインテル(INTC)と半導体製造装置大手のアプライドマテリアルズ(AMAT)も2%以上上げています。

一方で顧客情報管理大手のセールスフォース・ドットコム(CRM)が3%以上下げました。決算は市場予想を上回りましたが、5-7月期と通期の見通しが市場予想を下回ったことが嫌気されました。

5.為替・金利等

先週末の長期金利は0.04%低い0.65%となりました。ドル円は107円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

先週末の米国市場が高安まちまちとなり新たな買い材料に乏しいことから本日の日本市場は軟調なスタートが予想されます。短期的な過熱感が強まるなかで日経平均が下げ渋り底堅さをみせるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)