【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 25,400.64  ▼147.63 (5/28)
NASDAQ: 9,368.99  ▼43.37 (5/28)

1.概況

米国市場は中国が全人代で香港国家安全法の制定方針を採択するなかトランプ米大統領が29日に対中政策に関する会見をすると伝わったことで米中関係の対立悪化が懸念され反落となりました。149ドル高でスタートしたダウ平均は朝方に30ドル安程度まで下落する場面もありましたが、下げ渋ると持ち直し上げ幅を広げ午後には210ドル高まで買われました。しかし、トランプ米大統領が対中政策に関する会見をすると伝わると引けにかけて急速に上げ幅を縮めマイナスに転じ引け間際には189ドル安まで下落しました。結局ダウ平均は147ドル安の25,400ドルと3日ぶりに反落し取引を終えています。

また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も43ポイント安の9,368ポイントと4日ぶりの反落となっています。

2.経済指標等

1-3月期の米GDP改定値は年率換算で前期比5.0%減となり速報値の4.8%減から下方修正され市場予想も下回りました。先週一週間の米新規失業保険申請件数も212万3000件と前週から減少したものの市場予想ほど改善しませんでした。この結果3月半ば以降の10週間で申請件数は4000万件を上回っています。また、4月の中古住宅仮契約指数も前月比21.8%低下の69.0となり市場予想を下回りました。一方で4月の米耐久財受注額は前月比17.2%減となりましたが市場予想ほど悪化しませでした。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち6業種が下げ、エネルギーが3%近く下落したほか、金融と一般消費財・サービスも1%以上下げています。一方で5業種が上げ、公益事業が3%高となりヘルスケアと不動産も1%を上回る上昇となっています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄ではゴールドマン・サックス(GS)が4%安となったほか、ウォルト・ディズニー(DIS)も4%近く下落しました。シェブロン(CVX)とアメリカン・エキスプレス(AXP)も3%以上下げています。一方でファイザー(PFE)が2%余り上げ、メルク(MRK)とプロクター・アンド・ギャンブル(PG)も2%近く上昇しました。

ダウ平均構成銘柄以外では、パソコン・プリンター大手のHP(HPQ)が決算で売上高が市場予想を下回ったことで急落し12%を上回る下落となりました。カジュアル衣料のアバクロンビー・アンド・フィッチ(ANF)も同じく決算で売上高が市場予想を下回ったことで11%余り下げています。さらにツイッター(TWTR)はトランプ米大統領がSNS(交流サイト)企業による投稿内容への介入制限につながるとみられる大統領令に署名する見通しと伝わったことで4%以上下げています。1ドルショップのダラー・ツリー(DLTR)は決算で売上高や1株利益が市場予想を上回ったことで急伸し11%以上上げています。

5.為替・金利等

長期金利は0.01%高い0.69%となりました。ドル円は107円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株安を受けて軟調なスタートが予想されます。短期的な過熱感が意識されるなかで日経平均が下げ渋り底堅さをみせるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)