【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 24,474.12 ▼101.78 (5/21)
NASDAQ: 9,284.88 ▼90.90 (5/21)
1.概況
米国市場はトランプ米大統領がツイッターで中国を批判したことで米中対立への懸念が強まり反落となりました。11ドル安でスタートしたダウ平均はまもなくして持ち直すとプラスに転じ142ドル高まで買われましたが、買いが続かず下落に転じると下げ幅を広げ昼前には205ドル安まで売られました。その後やや持ち直したダウ平均ですが軟調に推移すると結局101ドル安の24,474ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も90ポイント安の9,284ポイントとなっています。
2.経済指標等
先週一週間の米新規失業保険申請件数は243万8000件と前週から減少したものの依然として高水準で推移しています。また、5月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数はマイナス43.1と前月から改善したものの市場予想を下回りました。一方で5月の米製造業PMI速報値は39.8と前月から上昇し市場予想も上回りました。4月の米中古住宅販売件数も年率換算で前月比17.8%減の433万戸と2010年7月以来の大幅な落ち込みとなりましたが市場予想を上回りました。4月の景気先行指標総合指数も前月比4.4%低下したものの市場予想を上回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち資本財・サービスを除く10業種が下げました。そのなかでもエネルギーと情報技術、生活必需品、公益事業が1%を超える下落となっています。
4.個別銘柄動向
ボーイング(BA)が買いの投資判断を受けて4%以上上げダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなりました。また、ダウ平均構成銘柄ではレイセオン・テクノロジーズ(RTX)とトラベラーズ(TRV)も4%近く上げています。
ダウ平均構成銘柄以外では、ディスカウントストアのTJXカンパニーズ(TJX)が5月以降に営業を再開した店舗はおおむね前年を上回る売り上げになったと発表したことで7%近く上げています。クルーズ船大手のロイヤル・カリビアン・クルーズ(RCL)も買いの投資判断を受けて6%を超える上昇となりました。一方で家電量販店のベストバイ(BBY)が4%以上下げました。決算は市場予想ほど落ち込まなかったもののネット通販急増に伴うコスト増が嫌気されました。
5.為替・金利等
長期金利は0.01%低い0.67%となりました。ドル円は107円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国株安を受けて軟調なスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が下げ渋り20,500円を維持できるかがポイントとなりそうです。また、本日は日銀が臨時の金融政策決定会合を開催する予定で、新型コロナウイルスの感染拡大で苦境に立たされている中小企業などの資金繰りを支えるため金融機関を通じた新たな資金供給制度を決める見通しで注目されます。さらに本日から中国で開幕する全国人民代表大会(全人代)にも注目が集まりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)