4月末~5月上旬の中国本土市場は緩やかな上昇
4月末~5月上旬の中国本土株は緩やかな上昇となっています。中国本土市場は5月1日(金)~5月5日(火)は5連休となり、5月6日(水)から取引が再開されました。
4月28日に、原油価格が大きく下がったことから石油株を中心に一時は大きく下落したのですが、その日のうちに切り返し、長い下髭をつけるローソク足となっています。そしてその後は、緩やかな上昇基調が続いています。
中国本土株が堅調な理由としては、政府系金融機関の買い支えがあると見られる一方で、新型コロナウイルスの影響が終わり、経済指標に明るさが見えてきたことが挙げられます。また、3月5日に開幕が決まっていたものの新型コロナウイルスの影響で延期されている全国人民代表大会の日程が5月22日に開幕することが決定されたことなども要因となるでしょう。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を巡る米中対立が重しとなり下がる場面もあったのですが、すぐに株価は強い基調を取り戻しています(ちなみにその後、劉鶴副首相と米通商代表部のライトハイザー代表、ムニューシン米財務長官が電話会談を行い、2020年1月に署名した貿易協議の「第1段階合意」を巡って好ましい条件を整えると約束されたと報道されています)。
中国の経済指標を見てみると、4月27日には3月の中国工業企業の利益が発表され、34.9%減と大幅な減少とはなっているものの、1-2月の38.3%減からは改善しています。
また、4月の中国国家製造業PMIが50.8と市場予想の51.0を下回ったものの2ヶ月連続で景況感の境目である50を上回りました。同様に中国国家非製造業PMIも53.2と市場予想の52.2を上回り、こちらも景況感の境目である50を上回っております。さらにCaixin中国製造業PMIも49.4と、市場予想の50.5は下回ったものの高水準を保てたこともコロナショック後の経済回復への期待感につながりました。
また、5月7日に発表された4月の輸出ですが、市場予想が11.0%減のところ3.5%増とプラス成長となって、こちらもサプライズとなりました。
4月末~5月上旬の香港市場は横ばい
一方、4月末~5月上旬の香港市場ですが、こちらは横ばいの推移となっています。香港市場は4月30日(木)が仏誕節、5月1日(金)がメーデーで休場となり、5月4日(月)から取引が再開されたのですが、この連休前までは株価は緩やかな上昇基調でした。
しかし連休中に米国株が軟調な動きとなったことやトランプ米大統領が新型コロナウイルスは中国武漢のウイルス研究所から広がったという証拠を見たとコメントし、報復関税を検討していることが明らかになったことから大きな下落となり、その後、やや戻しているものの小幅な戻し方となっています。
個別銘柄を見ると、新型コロナウイルスによる業績への影響を受けにくいテンセント(00700)などの動きは堅調だったのですが、石油株や本土金融株、本土不動産株、香港地場の不動産デベロッパーなどの動きは軟調で指数の重しとなりました。
一方、今後の明るい兆しもあります。中国汽車工業協会が発表した4月の中国の自動車販売台数(暫定値)は約200万台に達し、前年同月比で約1%増となっています。また、中国の消費は労働節の5連休中に国内旅行は前年の50%超、ショッピングモールの来場者も通常の60%超の水準まで回復したとの報道もあり、過ぎ去った悪い過去の業績よりも、今後はコロナショック後の回復に注目が集まるところと思います。
今後の注目は、やはり5月22日の全国人民代表大会(日本の国会に相当)でしょう。ここで経済対策が打ち出されるとの期待感がある一方、景気回復が見えてきたこともあって、今のところ中国は米国ほど大胆な景気刺激策は打ち出していません。どのような目標が立てられ、どのような対策が打ち出されるのかに注目したいところです。