【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 24,633.86  △532.31 (4/29)
NASDAQ: 8,914.71  △306.98 (4/29)

1.概況

28日の米国市場は主力ハイテク株に利益確定の売りが出て反落となりました。ダウ平均は米国で経済活動が段階的に再開されていることを好感して223ドル高でスタートすると取引開始直後に378ドル高まで上昇しましたが、買いが続かず上げ幅を縮めると下落に転じ102ドル安まで売られました。その後持ち直すと午後は小幅高での推移となりましたが、引けにかけて売りが優勢になると結局32ドル安の24,101ドルと5日ぶりに反落して取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も122ポイント安の8,607ポイントと3日ぶりの反落となっています。

昨日の米国市場はバイオ製薬のギリアド・サイエンシズ(GILD)が新型コロナウイルス治療薬の臨床試験で有効性が確認されたと発表したことや、前日に売られた主力ハイテク株に買い戻しが入ったことなどで大幅反発となりました。388ドル高でスタートしたダウ平均は昼過ぎに663ドル高まで上昇したあと470ドル高程度まで一旦弱含みましが、FOMCの結果発表を受けて再び上げ幅を広げると650ドル高近くまで買われました。その後引けにかけて上げ幅を縮めたダウ平均ですが結局532ドル高の24,633ドルで取引を終えています。また、ナスダック総合株価指数も306ポイント高の8,914ポイントとなっています。

2.経済指標等

28日に発表となった2月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数で20都市圏住宅価格指数は前年同月比3.5%上昇し市場予想を上回りました。一方で4月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数は86.9と3月の118.8から大幅に低下し2014年6月以来の低水準となり市場予想も下回りました。

昨日発表の1-3月期の米GDP速報値は前期比年率換算で4.8%減と11年ぶりの大幅なマイナスとなり市場予想も下回りました。3月の中古住宅販売仮契約指数も前月比20.8%低下の88.2となり市場予想を下回りました。米連邦公開市場委員会(FOMC)では実質的なゼロ金利政策を維持し、無制限の量的緩和を続けることも決めました。また、パウエルFRB議長は会見で、景気回復を支援するためにあらゆる手段を活用すると強調しています。

3.業種別動向

28日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち7業種が上げ、エネルギーが2%余り上昇したほか、素材と資本財・サービスも2%近く上げています。一方で4業種が下げ、ヘルスケアが2%以上下落し、コミュニケーション・サービスと情報技術も1%を上回る下げとなりました。

昨日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が上げ、エネルギーが7%以上上昇したほか、コミュニケーション・サービスも5%余り上げています。一方で公益事業と生活必需品が下げ、公益事業は1%近く下落しています。

4.個別銘柄動向

28日の米国市場では主力ハイテク株に利益確定の売りが出て動画配信のネットフリックス(NFLX)が4%以上下げたほか、グーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)も3%安となり、アマゾン・ドット・コム(AMZN)も2%以上下げました。また、メルク(MRK)が新型コロナウイルスの感染拡大を理由に2020年12月期通期の見通しを取り下げたことで3%以上下げ、ダウ平均構成銘柄で下落率トップとなりました。物流大手のUPS(UPS)も決算で1株利益が市場予想を下回ったことで6%近く下落しています。一方でスリーエム(MMM)が決算で売上高と1株利益が市場予想を上回ったことで2%以上上げています。

昨日の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中24銘柄が上げました。そのなかでもアメリカン・エキスプレス(AXP)が9%近く上昇したほか、ビザ(V)も6%を超える上昇となりました。ボーイング(BA)とウォルト・ディズニー(DIS)、エクソンモービル(XOM)、シェブロン(CVX)、インテル(INTC)も5%以上上げています。一方で投資判断の引き下げを受けてウォルマート(WMT)が3%を上回る下落となりました。ダウ平均構成銘柄以外では、グーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)が決算で売上高が市場予想を上回ったことで9%近く上げました。新型コロナウイルス治療薬の臨床試験で有効性が確認されたと発表したギリアド・サイエンシズも5%以上上げています。ゼネラル・エレクトリック(GE)は決算で1株利益が市場予想を下回ったことなどで3%以上下げています。半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も決算で市場予想を下回る4-6月期の売上高見通しを発表したことで3%を超える下落となっています。

5.為替・金利等

28日の長期金利は0.05%低い0.61%となりました。昨日の長期金利は0.01%高い0.62%となりました。ドル円は106円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は昨日の米国株高を受けて大きく上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は20,000円の大台を回復し上値を伸ばす展開となりそうで、一目均衡表の雲の上限(20,237円)を抜けてきそうです。また、本日は日本時間の10時に中国の製造業と非製造業の購買担当者景気指数(PMI)が、10時45分に財新の中国製造業PMIが発表される予定で注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)