米ドル/円 日足

週間予想レンジ:107.00~109.00

メインストラテジー:押し目買い

・ドル全体との連動性を維持しながらも値動き限定
・激動の3月に対する反動と受け取られ、きっかけ待ち
・日銀の無上限QEがあっても目先材料になれないか

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週はわずか76pipsの変動幅で、歴史的な動かない相場を記録した。もっとも4月に入ってからは、ドルインデックスと連動性を保ちながら、極めて限定的な値動きしか見られなかったので、激動の3月に対する反動という見方もできる。いずれにせよ、連日値幅限定でまだら模様を呈し、モメンタムの欠如が一層露呈され、ブレイク待ちの局面は変わらない。

この状況打開するには何らかのきっかけを待たなければならない。今週の日銀政策決定会合にて国債購入上限の撤回が予想されるが、先週すでに報道されたにもかかわらず、全くと言っていいほど影響力がなかったから、少なくとも短期スパンでは材料視されないだろう。

日銀版の無制限QEと言われる政策の実行は、日本の事情(年間80兆円の現状でも消化しきれず、また不発気味)に鑑み、米FRB(米連邦準備理事会)政策ほどのインパクトを期待しにくい。

もっとも、コロナショックで世界金融相場の大混乱と共に、米ドル/円はドル全体(ドルインデックス)との連動性が大きいことは繰り返し指摘してきた通りだったが、先週ドルインデックスの堅調に鑑み、米ドル/円の「感度」が一層鈍くなっているように感じる。クロス円における外貨安・円高の圧力がじわじわ効いていたかもしれないが、総じて許容範囲に留まる。

詰まる所、所謂「有事のドル買い」の反面、「有事の円売り」と想定したものの、日本の緊急事態宣言の発動があっても一段円売りにつながらなかった。このことは、目先の「有事の円買い」(緊急事態宣言など)が確認できないものの、「有事の円売り」にもなりきれないことを示唆。ゆえに、まだら模様が続く公算。

前記のように、激動の3月に対する反動という位置付けでは、今月に入ってからの値幅限定は、また軟調な推移を解釈しやすい。既述のように、3月第4週におけるドル全体の反落は、この前の大幅V字型反騰に対する修正との位置づけだった。したがって107円大台を明白に割らない限り、3月9日安値101.19円を起点とした上昇波へすでに復帰した、というメインシナリオは不変。

繰り返しとなるが、3月第2週の足型が点灯したサインは重要であったから、同サインは間違いなく「フォールス・ブレイクアウト」、即ち歴史的な金融相場の混乱と相まって一時の下放れが「ダマシ」であったことを示唆、3月高値の111.72円の打診をもたらしたわけだ。同サインの効き目が有効である以上、切り返す途中の軟調があってもスピード調整として見られやすく、目先の動意薄があっても途中の値動きと割り切る。

歴史的な「ダマシ」とみる根拠も繰り返し強調してきた通り。即ち2016年11月以降、2018年3月第3週を除き、米ドル/円は105円大台以下大引けがなかった上、月足において106円大台以上の大引けを維持してきたから、記録的なコロナショックであっても、また進行中であっても、同基準が守られてきたということだ。

米ドル/円の歴史的な「ダマシ」的なサインは円安の内部構図を証左している以上、しばらく値幅限定があっても見方は不変であり、引き続き押し目買いのスタンスで臨みたい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:67.50~70.00

メインストラテジー:押し目買い

・豪ドル安の行き過ぎが修正される途中、基調の維持も確認された
・主体は豪ドル安だったので、修正(反動)も豪ドル/米ドル次第
・原油先物相場の歴史的な大波乱があっても豪ドルの堅調さがポイント

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先々週と同様、先週も値幅限定だったが、陽線引きをもって67円関門を維持、切り返しの基調を示唆した。既述のように4月第1週における大幅切り返し、69円関門のトライをもって豪ドルの底打ちを再度証左したから、修正的な値動き(反騰)が当面継続されやすく、目先なお途中とみる。

詰まる所、コロナショックで3月19日まで大きく続落、一時60円の心理大台を割り込んだこと自体が豪ドル安のクライマックスだったから、先週の値幅限定を同見方の一環として感触を深める。

コロナショックと相まって、パニック的なドル買いやドル・クランチの進行で豪ドルは資源国通貨として売られやすかった側面が大きかったが、そのような値動きはすでに一旦収束した。

豪ドル対ドルの続伸をこの前の売られ過ぎへの修正と位置付ければ、豪ドル/円の反騰をその連動として解釈されやすかったことは既述の通り、先週証左した材料がまた浮上してきたことも見逃せない。

米原油先物市場は大きな波乱をみせた。史上初のマイナス価格の形成があったにもかかわらず、資源通貨とされる豪ドルは総じて平穏な値動きを見せた。このポイントを大事にすれば、先週でも強調した見方を一層強めるだろう。

要するに、3月安値までの急落がすでに深刻な「オーバーシュート」、即ち「売られ過ぎ」の状況が続いていたから、修正波(切り返し)の継続も「ホンモノ」なので、原油相場の材料が「無視」されがちであったわけだ。

繰り返し指摘してきたように、4月19日の日足が示した「スパイクロー」の足型が一旦底打ちのサインとして大きく利いたこと、またその後「インサイド」のサインを形成してから上放れを果たしたことは重要であった。

4月第1週の続伸や高値トライで、同上放れの結果と見なし、先々週からの保ち合いで基調の再確認もあって、更なる続伸の余地を拓ける。週足では、3月第3週に「包まれる」形で同月第4週(3月30日~)の陰線引けがあったから、前記4月第1週の大陽線、週足における「インサイド」の上放れを証明したことも整合性をもつ。

そもそも69円台半~70円の心理大台は目先の抵抗と見なし、続伸できない場合はまたスピード調整があってもおかしくないとみていたが、先週の陽線引きで調整の早期完成も念頭におきたい。

既述のように、3月25日の罫線が示した「スパイクハイ」のサインに鑑み、同日高値67.71円のブレイクもあって、同高値前後が一転して支持ゾーンになりやすい。そのため66円台後半~67円台後半の支持ゾーンを明白に割らない限り、当面切り返しの継続を有力視、先週の67円前半の打診やその後の切り返しをもって支持ゾーンの再確認を果たした公算。

パターンの視点では、3月19日の陽線は「強気リバーサル」のサインを点灯、底打ちを示し、3月25日の高値67.71円へ戻り、切り返しの最初子波を完成したとみる。

3月25日は「星線」の形状を示し、一旦抵抗ゾーンを確認した形で4月2日の64.39円の打診をもたらした。同安値の水準は3月9日安値の64.47円に近く、その後の切りかえしや3月25日高値のブレイクがあって、「逆三尊」のもっとも標準的なパターンが示される。

ゆえに、これから「倍返し」の計算でまず71円関門手前までを狙え、その後75円関門前後を照準できる計算となる。前者は3月25日高値~4月2日安値までの値幅を上乗せ、後者は前記「逆三尊」で推測できる上値ターゲットであるから、一直線な上昇が想定しにくいもののこれからの上値余地が示唆される。紆余曲折あっても達成される見通し。